冬の朝、目が覚めた瞬間の、あのどうしようもない重たさ。
あなたも、知ってるよね。
まるで世界中の引力が、あなたのぽかぽかのお布団の上にだけ、ごっそり降り積もったみたいに、身体が動かない感覚。
カーテンの隙間から差し込む光は、夏とは比べ物にならないくらい白くて、なんだか鋭い。窓の外には、透明なガラスの破片が舞ってるような、張り詰めた冷気が漂ってるのがわかる。
「あー、寒いなぁ」
そう、たった一言呟くだけで、白い息が空中に溶けていく。そのあまりにも儚い様子が、自分の心細さと、なんだかちょっと似てる気がして。
冬は、少しだけ寂しい季節だ。
けれど、私はこの「寒さ」とか「寂しさ」が嫌いじゃない。いや、むしろ結構好きな方。
たぶん、この季節をずーっと待っていたのかもしれないね。
なぜなら、この凍えるような寒さがあって、初めて、私たちは「温かい」という感覚を、本当の意味で理解できるんだから。
今日は、そんな寒~い冬の日にだけ見つかる、小さな幸せの話。
解決策なんて大それたものじゃないよ。ただ、冷えた指先をじわ~っと温めるような、ささやかな時間のことだよ。
縮こまった心は、誰かの体温を求めている

冷たい風が吹く帰り道。
コートの襟を立てて、ポケットに手を深く突っ込んで歩くとき。身体の芯まで冷え切って、指先の感覚がぼんやりとしてくるときがある。
そんな時、ふと、猛烈に人恋しくなることはないかな。
寒さは、人を素直にするものだよ。
普段なら強がって「一人で平気」なんて顔をして歩いている私だって、冬の寒さの前では、ただの無防備な生き物になってしまう。
心の中にあった硬い殻のようなものが、寒さでパキパキとひび割れて。中から「寂しい」とか「ぎゅーっと温められたい」という本音が、ちょっとだけぽろっとこぼれ落ちてくるんだ。
でもね、その弱さは決して悪いものじゃない。
だって、自分が冷たいって知っているからこそ、マグカップから立ち上る湯気の匂いに、泣きたくなるほどの救いを感じられるんだから。
お鍋でゆっくりと作った温かいミルクティー。
その熱さが、かじかんだ手のひらから血管を通って、心臓のあたりまでじんわ~りと届くとき。
「ああ、生きてる」
って、大げさじゃなく、そう思うんだ。
もしも世界が一年中、快適な温度で保たれていたとしたら。
私はきっと、この「熱が伝わる」という奇跡みたいな喜びを、知らずに過ごしてしまったかもしれない。
そう考えると、頬を刺す冷たい風も、私たちが温かさを知るために用意された、必要な舞台装置のように思えてこないかな。
「何もしない」という、贅沢な許し

冬になると、なんだかやる気が出なくて、一日中毛布にくるまって過ごしてしまう。
そんな自分を、「ダメだなあ」と思ってしまう日が私にもあるよ。
テレビやスマホを開けば、みんなが眩しい場所で、何かを成し遂げているように見えるしね。自分だけが、まるで冬眠し損ねた熊みたいに、暗い部屋でうずくまっているような気がして。
でも、最近思うんだ。
冬は、植物だって葉を落として、根っこだけでじっと耐えている季節だよね。目に見える成果や花はゆっくりお休みして、土の中で静かに命を蓄えている時間なんだ。
だから、私たちも、無理に咲かなくていいと思うんだ。
部屋の暖房の音だけが、ゴーッと響く静かな午後。
読みかけの本を胸に乗せたまま、うとうとする時間。
それは決して「停滞」なんかじゃなくて、心が深呼吸をしている音だよ。
外の世界は寒くて厳しいけれど、この毛布の中だけは、私の王国だ。(これはまちがいない)
ここでは、誰の評価も、明日の不安も、入ってくることはできない。
ただ、温かい。
ただ、柔らかい。
その感覚だけに身を委ねることは、逃げなんかじゃなくて、自分自身を大切にする、贅沢な時間なのかもしれないね。
この時期は、心を「休むこと」に切り替えてもいい時期なんだと思うよ。
湯気の中に溶けていく、日々の澱(おり)

お気に入りのカップにたっぷりとお湯を注ぐとき。
私はいつも、不思議な力を使うような気持ちになる。
ココアの粉が、熱いお湯に溶けて、とろ~りとした茶色い液体に変わっていく。スプーンでくるくる回すと、甘くて優しい香りが、湯気と一緒に顔を包み込む。
その湯気を吸い込むだけで、今日一日にあった嫌なことや、我慢したことが、少しずつ中和されていく気がするんだ。
一口、飲む。
口の中に甘さ爆弾が襲来!
喉を通る熱さが、胃の中に落ちていく。
身体の内側に、小さな灯りがともるような感覚。
「大丈夫。私はまだ、大丈夫」
そう自分に言い聞かせながら、余韻とともにカップを両手で包み込む。
その時、私の手の中にあるのは、形を持った「安らぎ」そのもの。
高いレストランの料理じゃなくても、特別なイベントがなくても。
キッチンで立ったまま飲む一杯のココアが、こんなにも気持ちを楽にしてくれる。
幸せって、案外そういう、手の届く範囲に転がっているものなんだよね。ただ、私たちが忙しすぎて、その小さな温もりに触れる時間を忘れているだけで。
寒い日は、それだけで美しい

だから、もし今、あなたが寒さで、心が少し縮こまっているのなら。
どうか、そんな自分を甘やかして。
あなたは今、春に向けてエネルギーを溜め込んでいる最中なんだから。
冷たい空気に耐えて、やり過ごした。それだけで、もう十分すぎるほど、偉いんだよ。
冬の夜は長いけれど、その分、朝日の眩しさは格別。
凍えた身体をお風呂に沈めたときの、あの「ふにゃ~」ってなる気持ち。冷たい布団に入って、自分の体温を差し出してお布団を温めていく、あの瞬間。
そんなささやかな「温かい」を、ひとつずつ拾い集めていく。
それだけで、冬の毎日は、胸がぎゅっとなるような大切なものに変わっていくはずだよ。
寒いね、と言い合える誰かがいても、いなくても。
あなたの日常には、あなた自身が作り出した温もりが、ちゃんと在る。
だから今夜は、一番温かい格好をして、自分を甘やかしてあげて。
世界で一番あたたかくて優しい場所に、あなたが居られますように。
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きっと、新しい発見があるはずだよ。
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