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心がスーッと楽になる。「自分の気持ち」を無視しないための心理学

すべて

いつも周りに合わせて、自分の「本当の気持ち」が分からなくなっていませんか?

大丈夫、難しい話は一つもしません。

この記事では、心理学の知見を基に、あなたが自分自身と優しく向き合い、心がスッと軽くなる具体的な方法だけを集めました。

読み終える頃、きっとあなたは、自分を大切にする心地よさを知っているはずです。

さあ、一緒に、あなたの心を探しに行きましょう。

  1. そもそも、なぜ私たちはつい「自分の気持ち」を無視してしまうの?
    1. 【大前提】それは、あなたが「優しい人」だからこそ、なんです
    2. わかっているけどやめられない。「気持ちを無視する」3つの隠れたメリット
    3. あなたのせいじゃない。私たちを縛る「社会の空気」と「脳の生存本能」
  2. 【感情のトリセツ】ネガティブな感情は、あなたを守る大切な味方
    1. 「怒り」は、あなたの「大切なもの」が脅かされている警報
    2. 「悲しみ」は、心を癒し次へ進むための“大切な時間”
    3. 「不安」は、未来の自分を助ける“賢いナビゲーター”
  3. 【超入門】自分の気持ちと仲直りする、3つの優しいベビーステップ
    1. STEP 0 1日1回「私、今どう感じてる?」と心で聞くだけ
    2. STEP 1 心の解像度を上げる、初心者でも続く「心の天気予報」ノート術
    3. STEP 2 「~べき」という呪いを解く。自分の“思考のクセ”にそっと気づく方法
  4. もう「都合のいい人」で終わらない。アサーティブに自分を伝える心理学
    1. 【重要】「自分を大切にすること」と「ワガママ」は全く違います
    2. 「私」を主語にするだけ。驚くほど伝わる「アイメッセージ」の基本
    3. 【シーン別】そのまま使える。気持ちを伝える「お守りフレーズ」集
  5. 自分の気持ちと繋がれたら、人生はこんなにも豊かになる
    1. 人間関係が「量より質」へ。本当に心通わせたい人だけが残る
    2. 仕事のモヤモヤが消える。あなたの「好き」や「得意」が最高の武器になる
    3. もう人生に迷わない。自分の「感覚」が最強の道しるべになる
  6. 【もし、どうしても一歩が踏み出せないと感じたら】
  7. あなたの心の声に、世界で一番の価値がある
    1. 【この記事を書く上で大切にした考え方】

そもそも、なぜ私たちはつい「自分の気持ち」を無視してしまうの?

自分の気持ちを大切にした方がいい。

頭ではそう分かっているのに、なぜかいつも、私たちは自分の気持ちを後回しにしてしまいます。

一体なぜなのでしょうか。

その理由を紐解いていくと、単なる「性格」「意志の弱さ」といった言葉では片付けられない、もっと深く、そして意外な背景が見えてくるんですよ。

【大前提】それは、あなたが「優しい人」だからこそ、なんです

まず、何よりも先にお伝えしたいことがあります。

自分の気持ちを後回しにしてしまう

…そんなあなたは、きっと、いつも周りの人のことをよく見ていて、人の痛みがわかる、とても優しい方なのでしょうね。

 

相手をがっかりさせたくない。

この場の和やかな空気を壊したくない。

 

そのように、相手を、そしてその場全体を思いやる気持ちが強いからこそ、あなたは「自分の気持ち」という小さな声を、そっと胸の奥にしまい込んできたのかもしれません。

その行動は、決してネガティブなものではなく、あなたの「優しさ」「繊細さ」という、素晴らしい美点から生まれたもの。

ですから、まずはそんな風に、知らず知らずのうちに周りを気遣い、頑張り続けてきたご自身のことを、どうか「ダメだなあ」なんて責めないであげてください。

 

あなたは、ただ、とても優しすぎただけ。

 

まずは、その事実を、温かい気持ちで受け止めてあげることから始めてみましょうか。

わかっているけどやめられない。「気持ちを無視する」3つの隠れたメリット

頭では「自分の気持ちを大切にしよう」と心に決めても、気づけばまた同じことを繰り返してしまう…。

そんな自己嫌悪にも似た感覚に、覚えはありませんか。

実は、私たちがなかなかその行動をやめられないのには、ちゃんとした理由があるんです。

というのも、私たちは無意識のうちに、気持ちを無視することから、

 

いくつかの「メリット」を受け取ってしまっていることがあるからなんですね。

 

少しだけ、ご自身の心に問いかけながら、読み進めてみてください。

  1. 目先の対立を避けられる「短期的な平和」

    「NO」と言って相手を不快にさせたり、話し合いが面倒になったりするくらいなら、自分が少し我慢すれば丸く収まる。その「今、この一瞬の波風を立てずに済む」という、短期的な安心感は、確かに魅力的かもしれません。

  2. 自分で決めなくて済む「思考のショートカット」

    自分の気持ちと向き合い、「どうしたいか」を考えて決断するには、意外とエネルギーが必要です。周りの意見に合わせておけば、その責任や面倒から解放される。これは、ある意味で「考えなくて済む」という、思考の省エネになっているのです。

  3. 仲間外れにならない「所属と安全の確保」

    「みんなと違う意見を言ったら、浮いてしまうかもしれない」「ワガママだと思われて、嫌われてしまうかもしれない」…。私たちは本能的に、集団から孤立することを恐れる生き物です。周りに合わせることは、そのグループに所属し続けるための、無意識の安全策でもあるんですね。

いかがでしょうか。

もしかしたら、いくつか心当たりがあったかもしれません。

でも、大丈夫。

こうした「隠れたメリット」の存在に気づくことこそが、「なぜかやめられない」というループから抜け出すための、とても、とても重要な第一歩になるんですから。

あなたのせいじゃない。私たちを縛る「社会の空気」と「脳の生存本能」

では、なぜ私たちは、先ほどのような「隠れたメリット」に、それほどまでに強く惹かれてしまうのでしょうか。

ここで少しだけ、あなたの心の内側から外側へと視点を移して、もっと大きな背景も一緒に眺めてみましょう。

 

一つは、私たちが暮らす、この社会に漂う「空気」です。

 

日本では昔から、「和を以て貴しと為す」という言葉に代表されるように、個人の主張よりも集団の調和が重んじられる文化があります。

「空気を読む」という、言葉にはならないルールを敏感に察知し、周りに合わせることが、一種のコミュニケーション能力だとされてきました。

私たちは、そうした文化の中で、知らず知らずのうちに

「自分の気持ちより、周りの調和を優先する」

という振る舞いを学習してきた側面があるのかもしれません。

 

そしてもう一つ、もっと根源的な理由が、私たちの「脳」そのものの仕組みに隠されています。

はるか昔、人類が厳しい自然の中で生き延びるためには、仲間と協力し、集団で暮らすことが不可欠でした。

集団からの孤立は、天敵に襲われたり、食料が得られなかったり、つまり「死」に直結する最大の危機だったのです。

その頃の記憶が、私たちの脳の奥深くにある「扁桃体」という感情を司る部分に、今も強く刻み込まれています。

だから現代社会で安全に暮らしていても、

 

脳は「嫌われること」や「孤立すること」に対して、まるで命の危険が迫っているかのように、過剰な警報を鳴らしてしまうことがあるのです。

 

つまり、あなたが自分の気持ちを抑えてしまうのは、決してあなたの意志が弱いからとか、性格に問題があるから、というわけではないのです。

それは、文化的な影響と、あなたを必死に守ろうと働き続けてきた“賢い脳の仕組み”が合わさって起きていた、ごく自然な反応だったと言えるのかもしれませんね。

【感情のトリセツ】ネガティブな感情は、あなたを守る大切な味方

自分の気持ちと向き合おうと決めたとき、私たちの前に立ちはだかる、手強い存在がいます。

 

それは、「怒り」「悲しみ」「不安」といった、いわゆるネガティブな感情たち。

 

できれば感じたくないし、早くどこかへ追いやってしまいたい…。

 

でも、もし。

その厄介者だと思っていた感情たちが、

 

実は、あなたを危険から守り、進むべき道をそっと教えてくれる、誰よりも頼もしい「味方」だとしたら。

 

ここでは、そんな感情たちの、知られざる本当の姿を一緒に見ていくことにしましょう。

「怒り」は、あなたの「大切なもの」が脅かされている警報

カッとなったり、イライラしたり。怒りの感情に襲われると、後からどっと疲れてしまったり、

「どうしてあんなに怒ってしまったんだろう」

と、そんな自分に嫌気がさしたり…。

なんだか、とても厄介なものに感じてしまいますよね。

 

でも実は、その怒りという感情は、

「あなたの心が、何かとても大切なものを守ろうとしている」

という、力強い証拠でもあるんですよ。

それは、ちょうど家を守るための「警報装置」のようなもの。

もし泥棒が家に侵入しようとした時に、けたたましく警報が鳴り響いたとして、それを「うるさい!」と止めてしまう人はいませんよね。

むしろ、「何かあったんだ!」と駆けつけるはずです。

 

怒りも、それと全く同じなのです。

 

例えば、職場で理不尽な仕事を押し付けられてカチンとくるのは、

「あなたの貴重な時間や、仕事への誠実な気持ちが、ないがしろにされそうになっているよ!」

という、心からの警報です。

親しい人に心ない一言を言われて腹が立つのは、

「あなたが、その人との信頼関係や、自分の尊厳を、とても大切に思っているよ!」

という、気持ちの裏返しでもあるのです。

ですから、これからは怒りを感じたら、それを無理に「静まれ!」と抑え込むのではなくて、心の中でこう問いかけてみてください。

 

「おや、警報が鳴っているな。今、私の“大切なもの”のうち、一体何が脅かされているんだろう?」と。

 

そうやって、警報の鳴る理由を探っていくと、怒りという感情が、あなたが何を大事にしているのかを教えてくれる、自己理解のための大切なツールに変わっていくはずですよ。

「悲しみ」は、心を癒し次へ進むための“大切な時間”

心がずっしりと重くなり、世界が色褪せて見えるような、深い悲しみ。

こんな気持ちは、できれば感じたくない。

一秒でも早く、この苦しみから逃れたい。

う思うのは、人間として、ごくごく自然なこと。

けれど、悲しみという感情は、あなたが心の傷を回復させるために欠かすことのできない、とても静かで、神聖な時間でもあるのです。

それは、まるで冬の冷たい土の中で、春に向けてじっと栄養を蓄えている、花の球根のようなものかもしれません。

外からは活動を休止しているように見えても、その内側では、再び美しい花を咲かせるための大切な準備が、ゆっくりと、でも着実に進んでいるのです。

だから、

 

悲しいときには、無理に元気を出そうとしたり、作り笑顔でごまかしたりしなくても大丈夫。

 

もし泣きたくなったら、温かい飲み物でも淹れて、誰にも遠慮せず、子供のように声をあげて泣いていいんですよ。

その涙は、心の傷を優しく洗い流し、癒やしてくれますから。

悲しみを十分に感じ尽くすことは、あなたが失ったものや、傷ついた出来事がいかに大切だったかを、心に深く刻み、感謝と共にそっと手放していくための、かけがえのないプロセスです。

急がなくていいんです。

その悲しみの時間を、どうか大切に過ごしてあげてくださいね。

「不安」は、未来の自分を助ける“賢いナビゲーター”

まだ起こってもいない未来のことを考えては、胸がざわざわしたり、最悪の事態ばかりが頭をよぎって、心配で動けなくなってしまったり…。

 

不安という感情もまた、本当に厄介に感じられるものの一つですよね。

 

では、少しだけ、見方を変えてみましょう。

もし、その尽きることのない不安が、未来のあなたを危険から守るために、先回りして色々なことを教えてくれる、“賢いナビゲーター”なのだとしたら、どうでしょうか。

例えば、大事なプレゼンテーションの前に感じる不安は、

「ぶっつけ本番で失敗しないように、もう少し準備や練習を重ねておこうね」

という、未来の自分からの応援のサインです。

新しい環境に飛び込む前の不安は、

「どんなことが起こるか、いくつかシミュレーションをして、心の準備をしておこうね」

という、あなたを大切に思うがゆえの、優しい声かけなのかもしれません。

 

これからは、不安という感情に飲み込まれそうになったら、それを力ずくで消し去ろうと戦うのを、一度やめてみませんか。

そして、まるで隣の席に座ってもらうような感覚で、心の中でこう話しかけてみるのです。

「なるほど、そんな心配をしてくれているんだね。教えてくれて、ありがとう」と。

その上で、

「じゃあ、その不安を少しでも軽くするために、今の私にできる小さなことは、何か一つでもないかな?」

と問いかけてみる。

そうすれば、不安はあなたを縛り付ける鎖ではなく、より良い未来へと導いてくれる、頼もしい相棒に変わっていくはずです。

【超入門】自分の気持ちと仲直りする、3つの優しいベビーステップ

さて、ここまでの章で、自分の気持ちを無視してしまう背景や、ネガティブな感情の本当の役割が見えてきましたね。

ここからは、いよいよ実践編です。

…と聞くと、「なんだか難しそう…」と、少し身構えてしまうかもしれません。

でも、どうぞ安心してくださいね。

これからご紹介するのは、長年自分の気持ちを後回しにしてきた心が、驚いてしまわないように。

そして、三日坊主で終わってしまわないように、これ以上ないほどハードルを下げた、誰にでもできる優しいステップです。

自分の心と、もう一度ゆっくりと“仲直り”するような、そんな気持ちで、気軽に取り組んでみてください。

STEP 0 1日1回「私、今どう感じてる?」と心で聞くだけ

最初にご紹介するのは、ノートもペンも、特別な時間も一切いらない、本当に簡単な心のストレッチのようなものです。

それは、1日にたったの1回でいいので、ご自身に向かって、

 

「私、今、どう感じてる?」

 

と、心の中でそっと問いかけてあげること。

ただ、それだけです。

「感情」なんていう、なんだか捉えどころのない大きなものを考えようとすると、難しく感じてしまうかもしれませんね。

そんな時は、

あなたの「五感」が感じている、もっと単純な感覚に意識を向けることから始めてみましょう。

例えば、

朝、淹れたてのコーヒーを一口飲んだ時に、「あ、温かくて美味しいな…」と感じる。

通勤中に好きな音楽を聴いて、「このメロディ、やっぱり心地いいな」と思う。

ランチでお腹がいっぱいになった時に、「うん、満たされた」と気づく。

お風呂のお湯に浸かって、「ふぅ、気持ちいい…」と体の力が抜けていくのを感じる。

 

そんな、ごく日常的な、小さな「好き」や「嫌い」、「快」や「不快」でいいんです。

これは、ずっと声を聴いてもらえなかったあなたの心に対して、

「これからは、ちゃんとあなたの声を聞きますよ」

というサインを送るための、とても大切な“仲直りの儀式”のようなもの。

まずは、自分自身に、ほんの少しでも意識を向ける。

その習慣そのものを取り戻すことから、ゆっくりと、始めていきましょう。

STEP 1 心の解像度を上げる、初心者でも続く「心の天気予報」ノート術

自分に問いかける習慣に、少しずつ慣れてきたなと感じたら。

次は、その“心の声”を、もう少しだけ詳しく、そして優しく見つめていくステップに進んでみましょうか。

ここでご紹介するのが、オリジナルの「心の天気予報」ノート術です。

日記のように「ちゃんと書かなきゃ」と気負う必要はまったくありません。

テレビの天気予報を見るような気軽な気持ちで、今の自分の心の状態を、客観的に、そしてちょっぴり楽しく記録するワークだと思ってください。

やり方は、とてもシンプルです。

ノートや手帳の片隅に、以下の3つのことを書き出してみるだけ。

  1. 今日の心の天気は?

    「雲一つない快晴」「晴れのち曇り」「しとしと小雨」「雨、所により雷」「雷雨のち曇り」など、今の気持ちを天気に例えて、直感的な言葉で書いてみましょう。

  2. どんな出来事があった?

    その天気になった原因と思われる出来事を、一言で書き添えます。

    例 「友達から褒められて嬉しかった(快晴の理由)」「上司の何気ない一言に、少しモヤっとした(曇りの理由)」

  3. どんなケアが必要かな?

    今の自分を、少しでも心地よくしてあげるための「心の傘」や「日傘」を処方してあげます。

    例 「今日は好きな香りの入浴剤を入れて、ゆっくりお風呂に入ろう(小雨のケア)」「嵐が過ぎ去るまで、少し一人で静かな音楽を聴いて過ごそう」

これを続けていくと、自分がどんな時に心が晴れ渡り、どんな時に曇りや雨模様になるのか、という「心のパターン」が、だんだんと見えてくるようになります。

そして何より素晴らしいのは、

自分自身で自分の心を観察し、自分に合ったケアをしてあげるという、人生で最も大切なスキルが、自然と身についていくことなんですよ。

STEP 2 「~べき」という呪いを解く。自分の“思考のクセ”にそっと気づく方法

心の天気を眺めていると、もしかしたら、

「いつも同じような出来事がきっかけで、気持ちが曇ってしまうな…」

というパターンに気づくことがあるかもしれません。

その背景には、多くの場合、私たちを無意識のうちに縛りつけている「思考のクセ」、いわば“心の呪い”のようなものが隠れていることがあります。

例えば、

「長男なんだから、しっかりしべき

「誘いを断ったら、嫌われるに違いない

「一度失敗してしまったら、もう全てが終わり

こうした、自分でも気づかないうちに使っている「心の口ぐせ」が、あなたの感情や行動を、がんじがらめにしてしまっているのかもしれません。

 

ここでは、そのクセを無理に直そうとしなくても大丈夫です。

 

まずは、「あ、私、またこんな風に考えているな」と、その存在に“そっと気づく”練習をしてみましょう。

ご自身の心を、優しく観察してみてください。

  • いつも物事を「完璧か、ゼロか」「白か、黒か」で判断してしまうクセはありませんか?

  • たった一つの良くない出来事を「やっぱり私はいつもこうだ」と、全てに当てはめてしまうクセはありませんか?

  • 相手の表情や言葉尻から、「きっと私のことを悪く思っているに違いない」と、根拠なく決めつけてしまうクセはありませんか?

もし、こうしたクセに気づいたら、それがチャンスです。

「おっと、また白黒思考が出てきたな」

「あ、決めつけの呪いだ」

と、心の中で実況中継するだけでいいんです。

不思議なことに、こうした思考のクセは、それに「気づく」ことさえできれば、少しずつ、その力を失っていくもの。

気づくことは、まるで、呪いを解くための最初の呪文のようなものなのです。

完璧を目指さず、ただ気づくだけで、あなたは100点満点ですよ。

もう「都合のいい人」で終わらない。アサーティブに自分を伝える心理学

自分の気持ちに気づけるようになり、その感情が大切な味方であることも分かってきた。

さあ、次はいよいよ、その大切な気持ちを、あなたの外の世界へ、つまり「誰か」に伝えていくステップです。

例えば、こんな人がいるとします。

いつも周りの意見に合わせてばかりで、自分の意見が言えないことに長年苦しんでいる。

その人も、最初は「私にはとても言えません…」と俯いてばかり。

でも、これからお伝えするいくつかの方法を、少しずつ試されていったのです。

 

自分の本音を伝えることは、相手を傷つけることでも、関係を壊すことでもありません。

 

これからお伝えするのは、相手も自分も大切にする、温かくて誠実なコミュニケーションの技術。

「言えなかった自分」にそっとサヨナラして、心地よい人間関係を築いていくための、心の準備を一緒にしていきましょう。

【重要】「自分を大切にすること」と「ワガママ」は全く違います

自分の気持ちを伝えよう、と心に決めたその瞬間に、ふと

「…これって、ただのワガママなんじゃないだろうか?」

という、考えが頭をよぎることはありませんか。

これは、自分の気持ちを伝える上で、多くの優しい人がぶつかる、とても大きな壁の一つです。

ここで、あなたに、とても大切なことをお伝えさせてくださいね。

 

「自分を大切にすること」と、「ワガママ」は、一見すると似ているようで、実は全く違うものなのです。

 

その違いを、心理的な「境界線(バウンダリー)」という考え方を使って、イメージしてみてください。

私たちの心には、一人ひとり、自分だけの「敷地」のようなものがあります。

 

「ワガママ」とは、自分の敷地に土足で上がり込み、自分の都合だけを主張して、さらには相手の敷地まで侵食して、そこにあるものを変えようとすることです。

そこには、相手の気持ちや状況への配慮がありません。

 

一方で、「自分を大切にすること」とは、まず自分の敷地がどこまでなのかをきちんと知り、それを大切に扱うことです。

そして同時に、相手にも相手の敷地があることを尊重し、その間にお互いが心地よくいられるような、適切な距離の「フェンス」を立てるようなイメージです。

 

実は、この「心地よいフェンス」があるからこそ、私たちは相手を不必要に傷つけることなく、また自分も傷つけられることなく、安心して健やかな関係を育んでいくことができるのです。

 

少し考えてみてください。

何でも「はい、いいですよ」と笑顔で言うけれど、本心がどこにあるか分からない相手と、

時には「ごめん、それは難しいな」と誠実に伝えてくれる相手とでは、

どちらを、あなたは長い目で見て「信頼」できると感じるでしょうか。

 

自分の気持ちを伝えることは、決してワガママではありません。

それは、あなた自身と、そしてあなたの目の前にいる相手との関係を、より誠実で、より対等なものにしていくための、とても勇気ある一歩なのです。

「私」を主語にするだけ。驚くほど伝わる「アイメッセージ」の基本

では、相手を責めることなく、自分の気持ちを誠実に伝えるためには、具体的にどうすればいいのでしょうか。

そのための、驚くほどシンプルでありながら、とても強力な方法があります。

 

それが、「私」を主語にして話す、「アイ(I)メッセージ」なんです。

 

私たちはつい、相手に何かを伝えようとするとき、「あなた」を主語にしてしまいがちです。

これを「ユー(You)メッセージ」と言います。

例えば、こんな風に。

 

  • Youメッセージ 「なんでいつも連絡してくれないの?(あなたはひどい)」

 

こう言われると、相手は責められたように感じて、思わず「だって忙しかったんだ!」と、心を閉ざしたり、反発したくなってしまったりします。

 

これを、「私」を主語にする「アイメッセージ」に変えてみると、どうでしょうか。

 

  • Iメッセージ 「(あなたから)連絡がないと、何かあったのかなって心配で、私は寂しい気持ちになるんだ」

 

不思議ですよね。

伝えている内容は同じはずなのに、後者の方が、ずっと柔らかく、そして素直な気持ちが伝わるように感じませんか。

相手も「そうか、寂しい思いをさせていたんだな。ごめんね」と、あなたの気持ちに寄り添いやすくなります。

アイメッセージの作り方は、とても簡単です。

「①客観的な事実(~な時に)」+「②私の気持ち(私は~と感じる)」

この順番で、言葉を組み立ててみるだけ。

この「アイメッセージ」が素晴らしいのは、「この気持ちの責任は、私にあります」という、誠実で大人な姿勢を、相手に示すことができる点です。

それは、相手への一方的な攻撃ではなく、「私はこう感じているんだけど、どうかな?」という、自己開示を通した対話。

この招待状が、二人の間の、固く閉ざされた扉を開けてくれるきっかけになるかもしれませんよ。

【シーン別】そのまま使える。気持ちを伝える「お守りフレーズ」集

理屈は分かっていても、いざその場面になると、緊張して言葉が出てこない…。

そんな時のために、具体的な場面でそのまま使える「お守りフレーズ」を、いくつかお守りのようにご用意しました。

完璧に言おうとしなくて大丈夫。

最初は、このフレーズを少し真似してみるところから、気軽に始めてみてくださいね。

 

シーン① 職場で、キャパオーバーなのに急な仕事を頼まれた時

  • よくある失敗例 「…はい、分かりました(本当は無理なのに、笑顔で引き受けてしまう)」

  • お守りフレーズ 「お声がけいただき、ありがとうございます。ただ、大変申し訳ないのですが、今抱えているタスクが立て込んでおりまして、私は、すぐにお引き受けするのが難しい状況です。もしお待ちいただけるようでしたら、明日の午後からでしたらご協力できるかもしれませんが、いかがでしょうか?」

    (ポイント 感謝で始め、できない理由(私)を伝え、代替案を示す)

 

シーン② 友人から、あまり気乗りしないイベントに誘われた時

  • よくある失敗例 「うーん、行けたら行くね!(曖昧に濁して、結局ドタキャンしてしまう)」

  • お守りフレーズ 「誘ってくれて、すごく嬉しいな、ありがとう! ただ、ごめんね。その日は、私は、少しゆっくり一人で過ごしたい気分なんだ。また別の機会に、ぜひご飯でも行こう!

     

    (ポイント:誘ってくれた気持ちへの感謝を伝え、正直な気持ち(私)を話し、次の約束に繋げる)

 

シーン③ パートナーや家族に、不満な気持ちを伝えたい時

  • よくある失敗例 「なんでいつもそうなの!?(感情的に相手を責めてしまう)」

  • お守りフレーズ 「少し、話を聞いてもらってもいいかな。あなたが〇〇しているのを見ると、なんだか大切にされていないような気がして、私は少し寂しい気持ちになるんだ。

    (ポイント:「あなた」の行動という事実と、それによって「私」がどう感じたかを、冷静に切り分けて伝える)

もちろん、いつもこんなにスラスラと言えるわけではありません。

言葉に詰まってしまっても、少しでも「私はこうしたいな」という気持ちを伝えようと試みたのなら、それだけで、本当に大きな、素晴らしい一歩です。

そんな勇気あるご自身を、どうか、たくさんたくさん褒めてあげてくださいね。

自分の気持ちと繋がれたら、人生はこんなにも豊かになる

これまで、自分の気持ちに気づき、それを大切に扱い、そして、勇気を出して伝えていくための、具体的なステップを見てきましたね。

もしかしたら、少し大変な道のりに感じられたかもしれません。

でも、その道の先には、あなたが想像している以上に、温かく、そして色鮮やかな景色が広がっているんですよ。

最後に、自分の気持ちと、本当の意味で繋がることができたなら、あなたの人生が、これからどんな風に豊かになっていくのか。

その未来の扉を、少しだけ、一緒に開けてみることにしましょう。

人間関係が「量より質」へ。本当に心通わせたい人だけが残る

たくさんの人に囲まれて、SNSではたくさんの「いいね」がつく。

それなのに、ふとした瞬間に、言いようのない孤独を感じてしまう…。

そんな経験はありませんか。

 

あなたが、自分の正直な気持ちを伝えるようになると、最初のうちは、少し戸惑う人もいるかもしれません。

中には、あなたの変化を受け入れられず、静かに離れていってしまう人も、残念ながらいるかもしれないのです。

でも、それは決して「失敗」や「悲劇」ではありません。

それは、うわべだけの関係が少しずつ剥がれ落ちて、あなたの人生にとって、本当に大切な関係性だけを見極めていくための、

 

とても自然で、健全なプロセスなんです。

 

やがて、あなたの周りには、どんなあなたも受け止め、尊重してくれる、本当に心を通わせられる人たちが、そっと残っていることに気づくでしょう。

お互いに無理をしたり、見栄を張ったりする必要のない、ただそこにいるだけで安心できる関係。

たくさんの「いいね」よりも、心からの笑顔を交わせる、たった一人の友人がいることの、かけがえのない温かさ。

自分の気持ちを大切にすることは、そんな、人生の宝物のような人間関係を、あなたのもとへと引き寄せてくれるのです。

仕事のモヤモヤが消える。あなたの「好き」や「得意」が最高の武器になる

「誰かの期待に応えなければ」

「評価されなければ意味がない」

そんな気持ちから、本当は納得できない要求を飲み込んだり、苦手な仕事を無理に引き受けたりして、いつの間にか、仕事への情熱や楽しさを見失ってはいませんか。

あなたが、自分の心の声に、もっと耳を澄ますようになると、

「これは、なんだかワクワクしないな」

「むしろ、あちらの仕事の方に、心が惹かれるな」

という、正直な感覚に気づけるようになってきます。

そして、その感覚に従って、勇気を出して

「これは少し難しいです」と伝えたり、

「こちらに挑戦したいです」と提案したりできるようになる。

すると、不思議なことが起こります。

「やらされ感」で仕事をしていた時とは比べ物にならないくらい、あなたの中から、内なる情熱(モチベーション)が、こんこんと湧き出てくるのです。

自分の「好き」や「得意」という感覚は、仕事への集中力や創造性を高めてくれる、何よりのエネルギー源。

その結果、自然と仕事の質(パフォーマンス)が上がり、周りからの信頼や評価も、後からちゃんとついてくる。

自分の気持ちを大切にすることは、遠回りに見えて、実はあなたのキャリアを最もあなたらしく輝かせるための、最強の仕事術でもあるんですよ。

もう人生に迷わない。自分の「感覚」が最強の道しるべになる

「どちらの道を選ぶのが、正解なんだろう…?」

親の期待、世間の常識、SNSで見るきらびやかな誰かの人生…。

私たちは、そうした「外側の基準」に無意識に振り回されて、自分の人生なのに、自分でハンドルを握れていないような、心もとない気持ちになることがあります。

でも、あなたが、日々の暮らしの中で、

「このコーヒーは美味しいな」

「この人との会話は、なんだか心地いいな」

「この道は、なぜか違和感があるな」

という、ご自身の小さな、でも確かな感覚を信じて、選択する練習を重ねていくと。

その一つひとつの積み重ねが、長年使われずに少し錆びついていた、あなたの「内なる感覚」を、少しずつ、少しずつ、丁寧に磨き上げていくことになります。

そして、いつの日か、あなたがキャリアやパートナー、住む場所といった、人生の大きな岐路に立った時。

あなたは気づくはずです。

 

その磨き上げられた「自分の感覚」こそが、どんな優秀な誰かのアドバイスよりも信頼できる、あなただけの「最強のコンパス」になっていることに。

 

もう、他人の地図を借りて、道に迷う必要はありません。

たとえ遠回りに見えたとしても、「自分で選んだ道だから、これでいいんだ」という、深く、そして揺るぎない自己肯定感と共に、あなた自身の物語を、自信を持って歩んでいくことができるようになるのです。

【もし、どうしても一歩が踏み出せないと感じたら】

この記事をここまで読んでくださって、それでも「やっぱり私にはできそうにない…」と、心が動かないと感じている方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。

もしそう感じたとしても、それは決して、あなたのせいではありませんよ。

それだけ長い間、ご自身の心を守るために、気持ちに固く固く蓋をしてきたのですから、急に開けなくて当然なんです。

むしろ、それが開かないのは、あなたの心が、あなたを必死に守ろうとしてくれている、とても健気な証拠なのです。

そんな時は、無理に行動しようとしなくても大丈夫。

「あなたは、とても優しい人なんだ」という、ただその一文だけを、まるで温かいお茶を飲むように、そっと心に染み込ませてあげてください。

行動することよりも、そんな風に、今はまだ動けないご自身を、ただ静かに、優しく受け入れてあげることの方が、今のあなたにとっては、何倍も、何百倍も、大切なことなのですから。

 

もし、この記事の方法を試しても、どうしても辛い気持ちが続くようでしたら、無理をせず、信頼できるカウンセリングや心理の専門家に相談することも大切な選択肢です。

【気軽にこちらから】

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あなたの心の声に、世界で一番の価値がある

ご自身の心と深く向き合うことは、時に勇気が必要で、少し根気のいる作業だったかもしれません。

最後まで読み通してくださった、あなたのその真摯な気持ちと行動に、心からの敬意と、温かい拍手を送ります。

 

自分の気持ちを大切にする旅は、一日にしてならず、です。

 

だから、どうか焦らないでくださいね。

一歩進んで、半歩下がることがあっても、時には立ち止まって休みたくなっても、大丈夫。

あなたは、確実に、ご自身の心のすぐそばへと、近づいていますから。

どうか、忘れないでいてほしいのです。

あなたの中に湧き上がる、喜びも、怒りも、悲しみも、不安も。

そのどんな感情も、決して間違いなどではなく、この世界で何よりも尊重されるべき、あなただけの、かけがえのない宝物なのだということを。

何か大きなことを成し遂げようとしなくても大丈夫。

まずは、今、この瞬間。

深く、深く、息を吸って。

そして、そっと、ご自身に問いかけてみてください。

 

「私、今、本当はどうしたい?」

 

その小さな、小さな声を聞き逃さないこと。

それこそが、あなたらしい輝きに満ちた、心地よい人生を取り戻すための、最も確かで、そして最も尊い、はじめの一歩なのですから。

【この記事を書く上で大切にした考え方】

この記事は、特定の個人の経験則だけではなく、長年にわたって研究されてきた心理学の、先人たちの偉大な知見に基づいて構成されています。

  • カール・ロジャーズの来談者中心療法における「受容」と「共感」の姿勢

  • アーロン・ベックの認知行動療法における「自動思考」への気づき

  • アサーティブ・コミュニケーションにおける、自他尊重の考え方

  • アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)における、感情との新しい付き合い方

これらの考え方が、あなたの心を軽くするための、確かな光となることを信じて。

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