誰かに認めてほしいのに、なぜか心が満たされない…。
そんな風に感じていませんか?
「与える人」が良いとは聞くけれど、なんだか難しくて、特別なことのように感じますよね。
でも、大丈夫。
この記事では、なぜ「与える」と心が満たされるのか、その科学的な理由と、今日からできる簡単な方法だけを、優しくお伝えします。
読み終える頃には、きっと気持ちが楽になり、人間関係が少しだけ楽しみに変わっているはず。
さあ、本当の心の自由への扉を、一緒に開けてみませんか。
【この記事で、あなたが手に入れられること】
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「与える人」が、なぜ科学的に見て幸せになるのか、その心の仕組みが腑に落ちるレベルで理解できます。
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あなたをすり減らす「自己犠牲」ではなく、あなた自身を満たす「健全な与え方」が明確に分かります。
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お金も物も不要。明日からすぐに実践できる、具体的な7つの行動リストが手に入ります。
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「見返りを求めてしまう心」に振り回されず、穏やかな人間関係を築くための具体的な思考法が身につきます。
【目次】
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プロローグ:「認められたい」のに、なぜか心が満たされないあなたへ
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なぜ?「もらうより与える」方が幸せなのか。心が満たされる3つの科学的メカニズム
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【独自診断】それ、自己犠牲かも?心をすり減らさない「健全な与え方」とは
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お金も物も不要。今日から始める、心を豊かにする「7つのGIVE」実践法
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【専門家Q&A】「偽善かも…」与えることをためらう”心の壁”の乗り越え方
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【応用編】もう期待しない。「見返りを求めてしまう心」と上手に付き合う方法
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エピローグ:あなたの「与える」が、世界で一番あなたを幸せにする
【プロローグ】「認められたい」のに、なぜか心が満たされないあなたへ
「誰かに認めてほしいな」
「がんばった分、何か返してほしいな…」
私たちは、日々そんな風に感じながら生きています。
それは、人間として、ごく自然で当たり前の気持ち。少しも、悪いことではありません。
でも、その気持ちが心の大部分を占めてしまうと、なんだか少し、疲れてしまいませんか?
周りの人と自分を比べては心がざわついたり、相手の些細な言動に一喜一憂したり。
いつも誰かの評価という、自分ではコントロールできないものに心を預けて、休まる暇がない。
そんな風に感じているとしたら、この記事は、あなたのためのものです。
ここでは、
なぜ「もらう」ことばかりを考えていると心が満たされず、反対に「与える」ことで穏やかな幸せを感じられるようになるのか。
その不思議だけれど、とても合理的な心の仕組みを、科学的な視点も交えながら、一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。
決して、難しい話ではありませんよ。
読み終える頃には、きっと心がふっと軽くなり、「これなら、私にもできるかもしれないな」と、温かい気持ちになっていただけるはずですよ。
なぜ?「もらうより与える」方が幸せなのか。心が満たされる3つの科学的メカニズム
「与える人の方が幸せになれる」
一度は耳にしたことがある、とても美しい言葉ですよね。
でも、心のどこかで
「それは、特別な人の話でしょう?」
「単なる綺麗事じゃないかな」
と感じてしまうのも、無理はありません。
ですが、これは単なる精神論ではないのです。
私たちが誰かに親切にした時、私たちの脳や心の中では、ちゃんと科学的な裏付けのある、素晴らしい変化が起きています。
ここでは、その代表的な3つのメカニズムを、少し専門的な視点も交えながら、一緒に見ていきましょう。
理由①「つながり」が鍵。脳内で「幸せホルモン」オキシトシンが分泌される
まず一つ目の大きな理由は、人に親切にすると、私たちの脳内で「オキシトシン」という、特別なホルモンが分泌されるからです。
オキシトシンは『愛情ホルモン』や『信頼ホルモン』とも呼ばれていて、人との社会的なつながりや安心感を高めてくれるホルモンです。
ストレスを和らげ、結果的に幸福感へと繋がることから、幸せホルモンの一つとしても知られています。
でも、不思議ですよね。
なぜ「他人のため」にしたことで、「自分の脳」が喜ぶのでしょうか。
その答えは、私たちの遠い祖先の時代にまで遡ります。
厳しい自然環境の中で、人間が生き抜くために最も重要だったこと。
それは、「仲間と協力し、社会的なつながりを持つこと」でした。
そのため、私たちの脳には、「他者と繋がる」「集団に貢献する」という行為をすると、
「自分は安全な場所にいる」「一人じゃない」という何よりのサインとして認識し、ご褒美としてオキシトシンを分泌する、という素晴らしいプログラムが備わっているのです。
スタンフォード大学の著名な心理学者、ケリー・マクゴニガル教授の研究でも、こうした親切な行為がストレス反応を抑え、他者とのつながりを強めることで、結果的に心身の健康に繋がることが示されています。
まるで、脳が「君は一人じゃないよ。ちゃんと仲間と繋がっているから、大丈夫」と、優しく語りかけてくれているようですね。
ですから、「与える」という行為は、単なる自己犠牲などではなく、私たちの脳に直接「安心」と「幸福」をもたらしてくれる、
極めて合理的で効果的な心のメンテナンス術
と言えるのです。
理由②「もらう快感」と質が違う。自己肯定感を育む”持続的な喜び”の正体
人から褒められたり、プレゼントを『もらう』時も、すごく嬉しいですよね。
その喜びと、『与える』喜びとでは、一体何が違うのでしょうか?
その違いの鍵を握るのが、
やる気ホルモン「ドーパミン」の“質のちがい”です。
実は、ドーパミンがもたらす喜びには、2つのタイプがあると考えられています。
喜びのタイプ | 特徴 | 例 |
もらう喜び(外的) | 外部からの刺激で、瞬間的に出る。依存性が高く、慣れるとより強い刺激が必要になる。 | SNSの「いいね」、人からの賞賛、ご褒美 |
与える喜び(内的) | 自分の内側から湧き上がる。他者に依存せず、穏やかで持続性がある。 | 「誰かの役に立てた」という感覚、達成感 |
この違いを、もう少しイメージしやすいように、私なりに表現してみると、こんな感じです。
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もらう喜びは、夜空に咲く『打ち上げ花火』
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一瞬で心を奪われるほど鮮やかで、ドキドキする快感があります。でも、その輝きはすぐに消えてしまい、また次の花火を求めてしまう。
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与える喜びは、心で燃える『焚き火』
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じんわりと、体の芯から温めてくれるような、穏やかで静かな充実感があります。一度火が育てば、そう簡単には消えず、あなたを内側から照らし続けてくれる。
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世界的にも有名な組織心理学者アダム・グラント氏の研究でも、長期的に見て最も成功し、周囲から応援され、幸福度が高いのは、見返りを求めずに与え続ける「ギバー(与える人)」であることが明らかにされています。
刹那的な「打ち上げ花火」の快感を追い求めるよりも、心の「焚き火」をじっくりと育むこと。
それこそが、本当の意味で自分を大切にし、揺るぎない自己肯定感を育むための鍵なのです。
理由③「見返りを求めるストレス」から解放され、人間関係が楽になる
「あれだけ時間をかけて手伝ってあげたのに、何の反応もない…」
「私ばっかり損している気がする…」
そんな風に感じて、心がモヤモヤしたり、疲れてしまったりした経験はありませんか?
そのモヤモヤの正体は、私たちが人間関係を無意識のうちに「GIVE & TAKE(貸し借りの関係)」で捉えてしまうことにあります。
常に「損か得か」を天秤にかけている状態なので、心が休まらないのは当然なのです。
ですが、
「先に与える」というスタンスは、この疲れる「貸し借りゲーム」から、自ら降りるという、とても賢い選択なのです。
社会心理学には『返報性の原理』という心の法則があります。
人は誰かから良いことをされると、自然と『お返しをしたい』と感じるものです。
この法則は、あなたが先に与えることで、良い人間関係の循環が生まれるきっかけになる、ということを示しています。
しかし、その循環を“期待しない”ことが、心を楽にする上では何よりも大切です。
「良い循環が生まれたら嬉しいな」くらいに考えておくのが、心を楽にするコツです。
ここで、一つの思考法を提案させてください。
それは、「GIVE & TAKE」を、「GIVE &…」に変えてみる、という考え方です。
「…」の部分は、何でも構いません。
TAKE(見返り)があるかもしれないし、何もないかもしれない。
でも、あなたのGIVEは、相手に渡した時点で100%、完了し、成功しているのです。
そう考えるだけで、相手の反応に一喜一憂するストレスから解放され、驚くほど心が自由になるのを感じられるはずですよ。
「与える」ことを始めると、不思議と人間関係が楽になります。
それは、相手が変わったからではありません。
あなたが「見返りを求める」という心の重荷から自由になった、何よりの証拠なのです。
【独自診断】それ、自己犠牲かも?心をすり減らさない「健全な与え方」とは
前の章で、「与える」ことがいかに私たちの心を豊かにしてくれるかをお話ししました。
ですが、きっとあなたはこう感じているかもしれません。
「でも、与えてばかりで、自分が損をするだけなのでは?」
「親切にしたつもりが、ただの“いい人”で終わって、自分がすり減ってしまいそう…」
その感覚は、とても大切にしてください。
なぜなら、「与える」ことには、あなたを幸せにする「健全な与え方」と、
あなたを不幸にしてしまう「危険な自己犠牲」の、2つの側面があるからです。
この章では、その違いをはっきりとさせ、あなたが安心して「与える」ことを始められるように、一緒に心の準備をしていきましょう。
与えることに「疲れる人」と「満たされる人」の決定的な違いとは?
同じように人に親切にしているのに、かえってエネルギッシュになる人と、反対に、どんどん心が疲れて、枯渇してしまう人がいます。
この違いは、一体どこから来るのでしょうか。
そのたった一つ、決定的な違いは、
「自分を大切にする」という土台があるかどうか。
自分の心の声をちゃんと聴けているかどうか、
ただそれだけなのです。
少し、イメージしてみてください。
あなたの心を、一つのコップだと考えてみましょう。
【満たされる人(健全なGIVE)のイメージ】
あなたの心のコップは、自分自身への愛情や、日々の楽しみ、十分な休息で、たっぷりと満たされています。
その満たされたコップから自然と“あふれ出た”優しさや思いやりを、周りの人におすそ分けしている状態です。
このGIVEの原動力は「喜び」や「愛情」。
自分のコップは常に満たされているので、いくら与えても枯渇することはありません。
【疲れる人(不健全なGIVE/自己犠牲)のイメージ】
あなたの心のコップは、日々のストレスや疲れで、もうカラカラの状態です。
それなのに、「断ったら嫌われるかも…」「良い人でいなければ…」という気持ちから、無理やりコップを傾けて、貴重な“最後の一滴”を差し出してしまいます。
こちらのGIVEの原動力は「不安」や「義務感」。
与えれば与えるほど、あなたの心はすり減っていきます。
つまり、健全なGIVEは自分を愛することから始まり、不健全なGIVEは他人からの愛や承認を得るために、自分を犠牲にしてしまう行為。
出発点が全く違うのですね。
ちなみに、先ほどご紹介したアダム・グラント氏は、人のタイプを3つに分類しています。
自分の利益を最優先する「テイカー」、
損得のバランスを五分五分に保とうとする「マッチャー」、
そして見返りを求めず与える「ギバー」です。
多くの人は、このマッチャーに近いと言われています。
では、あなたの心のコップは今、どんな状態でしょうか。
次のチェックリストで、ご自身の心の現在地を確認してみましょう。
良い・悪いという話ではありませんから、どうか安心してください。
あなたの与え方は?心をすり減らさない「GIVEバランス」診断チェックリスト
これから10個の質問をしますので、「あてはまるな」と感じるものに、心の中でチェックを入れてみてください。
自分を採点するのではなく、「最近、少し疲れてるかな?」と確かめるような、優しい健康診断だと思って、リラックスして取り組んでみてください。
□ 1. 頼まれごとをされると、断ることに強い罪悪感を感じる。
□ 2. 自分の善意が相手に伝わらないと、ひどく落ち込んだり、腹が立ったりする。
□ 3. 誰かの役に立っていないと、自分の価値を感じられない気がする。
□ 4. 相手のために、自分の時間やお金を、つい無理して使ってしまうことがある。
□ 5. 人から「ありがとう」と言われたり、褒められたりするために、頑張りすぎてしまう。
□ 6. 自分の意見や感情を抑えて、相手の言うことに合わせることが多い。
□ 7. 相手の問題を、まるで自分のことのように抱え込んでしまい、苦しくなる。
□ 8. 助けを求められていないのに、「何かしてあげなきゃ」と先回りしてしまう。
□ 9. 自分のための時間を取ることや、お金を使うことに、なぜか罪悪感を覚える。
□ 10. 人間関係において「自分ばっかり損しているな」と感じることがよくある。
さて、いくつチェックがついたでしょうか。
これは、あなたの心のバランスを知るための、ささやかな手がかりです。
【結果】
チェックが0〜2個だったあなた 【健やかギバー】タイプ
素晴らしいですね。
あなたは、自分の心を大切にしながら、周りの人にも自然に貢献できる、理想的な心のバランスをお持ちのようです。
その素敵なエネルギーの循環は、あなた自身だけでなく、周りの人も幸せにしているはず。
これからも、その健やかな優しさを、どうぞ大切に育んでいってくださいね。
チェックが3〜6個だったあなた 【心やさしきお疲れ】タイプ
あなたは、周りの人のことをよく見て、気持ちを汲み取ることができる、とても心優しい方なのですね。
ただ、ほんの少しだけ他者を優先しすぎて、ご自身の心の声を聞くのが、後回しになっているのかもしれません。
まずは、小さな「No」を言う練習をしてみたり、週に一度は「自分のためだけの時間」を意識して作ってみたり。
ほんの少し、ご自身をいたわる時間を持つだけで、あなたのその優しいGIVEは、もっと心地よく、軽やかに循環し始めますよ。
チェックが7個以上だったあなた 【自己犠牲さん】タイプ
あなたは今、ご自身が思っている以上に、周りのために心をたくさん使って、少し無理をしすぎているのかもしれません。
でも、何よりも素晴らしいのは、そのことに「ご自身で気づけた」ということです。
それこそが、状況を変えるための、何より大きな、尊い第一歩なのですから。
もしよかったら、今は「与える」ことを、一旦お休みしてみませんか?
空っぽになってしまったあなたの心のコップに、あなたが好きなこと、心地よいと感じることで、たっぷりと水を注いであげてください。
あなたが笑顔でいることこそが、周りの人にとっても、実は一番の喜びであり、最高のGIVEなのですから。
この診断は、あなたを型にはめるものではありません。
自分の心の癖に優しく気づき、よりご自身が楽な生き方を選ぶための、ほんのささやかな「地図」のようなものです。
大切なのは、今の自分をありのままに認め、ほんの少しだけ、自分をいたわる時間を作ってみること。
まずはそこから、ゆっくりと始めていきましょうね。
お金も物も不要。今日から始める、心を豊かにする「7つのGIVE」実践法
「与えることの大切さは分かったけれど、私には人に与えられるような、特別なものなんて何もない…」
もしかしたら、そんな風に感じていらっしゃるかもしれませんね。
でも、どうか安心してください。
これからご紹介するのは、お金も、特別な才能も、たくさんの時間も必要としない、誰にでも、今すぐ始められるGIVEの方法です。
日常のほんの些細なことこそが、あなたの心を豊かにし、周りの人の心にも温かい光を灯す、素晴らしい贈り物になるのです。
ここでは、その具体的な実践法を、「自分への素敵な副産物」とセットで7つ、ご紹介します。
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【時間のGIVE】ただ、相手の話を最後まで聴く
相手の話を、途中で遮らず、アドバイスもせず、ただ「うん、うん」と最後まで聴いてあげる。それだけで、相手に「あなたの存在を認めている」という強力なメッセージを贈ることができます。
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自分への副産物 他者への深い洞察力と、揺るぎない信頼関係が育ちます。
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【知識のGIVE】知っている便利な情報をそっと教える
仕事の小技や、美味しいお店の情報。「もう知ってるかもしれないけど」と一言添えて、そっと教えてあげる。それは、相手の時間を節約する、価値ある贈り物です。-
自分への副産物 人に教えることで、自分の知識がより深く、確かなものになります。
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【感情のGIVE】心からの「ありがとう」を言葉と表情で伝える
店員さんや家族に、少しだけ口角を上げて、相手の目を見て「ありがとう」と伝えてみる。相手の心を温めるだけでなく、言った自分の心もポジティブにしてくれる、魔法のようなGIVEです。-
自分への副産物 脳が「自分は幸せだ」と認識し、自己肯定感が高まります。
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【労力のGIVE】ドアを開けて、次の人を待ってあげる
うしろの人のためにドアを開けて待ったり、誰かが落とした物を拾ってあげたり。誰かに見られていなくても、小さな親切を積み重ねることで、静かで確かな自信が育ちます。-
自分への副産物 「自分もなかなかやるじゃないか」と、自分を少し好きになれます。
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【許しのGIVE】相手の小さな失敗を、心の中で許してあげる
相手を責める代わりに、「まあ、いいか」と心の中でそっと許してみる。それは、相手のためというより、怒りという重荷から、あなた自身を解放してあげるためのGIVEです。-
自分への副産物 過去への執着から解放され、心が軽やかになります。
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【機会のGIVE】後輩を信じて、仕事を任せてみる
「自分でやった方が早い」と思っても、相手の成長を信じて「機会」を贈る。それは、相手のやる気を引き出す、最高の信頼のメッセージになります。-
自分への副産物 新たな時間を手に入れ、人を育てる喜びという、新しい視点を得られます。
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【沈黙のGIVE】そっと黙って、相手の心に寄り添う
相手が本当に落ち込んでいる時、安易な言葉をかけず、ただ静かに隣にいる。その沈黙は、「どんなあなたでも、私はここにいるよ」という、何よりも雄弁なメッセージになることがあります。-
自分への副産物 物事の本質を見抜く深い洞察力と、真の共感力が育ちます。
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【Q&A】「偽善かも…」与えることをためらう”心の壁”の乗り越え方
ここまで読んでくださったあなたは、きっと「少し、やってみようかな」と、心の中に小さな温かい火が灯っている状態かもしれません。
でも、いざ行動しようとすると、ふと、心の声が聞こえてくる。
この章では、多くの人が抱える代表的な2つの「心の壁」について、どうすれば乗り越えていけるのかを、一緒に考えていきましょう。
Q1.「これって偽善?」という不安。どう考えれば心が軽くなる?
【ご相談】
「せっかく誰かのために行動しようと思っても、『これって結局、良い人だと思われたいだけの、独りよがりな偽善じゃないだろうか…』という考えが頭をよぎって、行動にブレーキがかかってしまいます。」
【お答えします】
そのように感じてしまうのですね。
ですがまず、知っておいてほしいのです。
そのように悩めるということ自体が、あなたがとても誠実で、物事の本質を真面目に考えていらっしゃる、何よりの証拠です。
人間の心は、そんなに単純ではありません。
「誰かの役に立ちたい」という清らかな気持ちと、「少し良く見られたいな」という人間らしい気持ち。
それらが少しばかり混ざり合ってしまうのは、ごく自然なこと。
大切なのは、あなたの行動の「きっかけ」ではなく、その行動によって「何が生まれたか」です。
あなたの行動で誰かが少しでも助かったのなら、それは紛れもなく、この世界に生まれた一つの「善いこと」なのです。
まずは「自己満足で100点」と、ご自身に優しく許可を出してあげてくださいね。
Q2.「おせっかいかも…」という心配。相手も喜ぶ”与え方”のコツ
【ご相談】
「良かれと思ってしたことが、相手にとっては『余計なお世話』になっていないか、すごく心配になります。そう考えると、声をかけること自体をためらってしまいます…」
【お答えします】
その心配りができるということ自体、あなたが相手の気持ちを、いかに深く尊重しようとしているか、という素晴らしい心の働きです。
「おせっかいなGIVE」と「嬉しいGIVE」。
その違いは、「相手に、選択の自由があるかどうか」、ただそれだけです。
「もしご迷惑でなければ、〜しましょうか?」
「余計なお世話かもしれませんが…」
といった「言葉のクッション」を使い、相手が気軽に「大丈夫です」と言える逃げ道を作ってあげるのがコツ。
そして、もし断られたとしても、それはあなたの人格が否定されたわけでは決してありません。
ただ「今は必要ない」というだけのこと。
「勇気を出して提案できた自分、えらい!」と、心の中でご自身をたくさん褒めてあげましょう。
【応用編】もう期待しない。「見返りを求めてしまう心」と上手に付き合う方法
最後に、誰もがぶつかる最も大きな壁、「見返りを求めてしまう心」との、上手な付き合い方についてです。
この章が、あなたの心を縛る見えない鎖から解き放つ、ささやかな手助けとなることを願っています。
なぜ?私たちが無意識に「見返り」を期待する心理的背景
「見返りなんて、求めちゃいけない」。
そう頭では分かっているのに、心のどこかで期待してしまう。
どうか安心してください。
見返りを期待してしまうのは、あなたの心が未熟だからではありません。
むしろ、それは人間が社会的な動物として生き抜くために、心に深く刻み込まれた、とても自然なプログラムなのです。
問題は、この本能を「相手にそれを求める“権利”だ」と、勘違いしてしまう時。
「私はこれだけ与えたのだから、あなたもこれだけ返すべきだ」と、相手の心をコントロールしようとした瞬間に、期待は“重荷”に変わり、心にストレスを生み出してしまうのです。
大切なのは、「期待する気持ち」そのものを、無理に消し去ろうとすることではありません。
その「期待」との距離の取り方を、ほんの少しだけ、変えてあげることなのです。
心が楽になる最終手段。「自分の行為」と「相手の反応」を切り離す思考術
期待という重荷からあなたの心を解き放つための、最もパワフルで、最も優しい思考法。
それは、
あなたの「GIVEという行為」と、その後の「相手の反応」を、心の中で完全に別の出来事として“切り離して”考えることです。
あなたの役割は、最高の種を育てること、そして、鳥に「どうぞ」と優しく手渡すこと。
あなたの仕事は、その時点で、100%、完璧に完了しています。
その種がどこで芽吹くか、どんな花を咲かせるか、あるいは咲かないかは、もう鳥と大地の領域。
あなたの手の届かない、別の物語なのです。
この心の習慣が身につくと、あなたはもう「相手の反応」という、自分ではコントロールできない不確かなものに、自分の幸福を委ねる必要がなくなります。
どんな結果であれ、「私は善い行いをした」という、誰にも奪うことのできない揺るぎない事実だけが、あなたの心に穏やかな充実感として、静かに残り続けるのです。
もちろん、これは心の筋トレのようなもの。すぐに完璧にはできなくても、全く問題ありません。
見返りを求めて心が苦しくなった時に、「あ、鳥が種を運んでいった後だったな」と思い出すだけでいい。
その“気づき”こそが、あなたを不要な心の消耗から守ってくれる、一生モノのお守りになるのですから。
【エピローグ】あなたの「与える」が、世界で一番あなたを幸せにする
『もらうより与える方が幸せ』
—その言葉が、今、あなたの心には、どんな風に響いているでしょうか。
誰かに認めてもらうことでしか満たされないと思っていた心が、実は、誰かにそっと何かを差し出すことで、内側からじんわりと温まっていく。
自分の心のコップが満ち足りて、初めてその優しさが自然にあふれ出す。
そんな、不思議で、とても素敵な心の仕組みがあることを、少しでも感じていただけたなら幸いです。
どうか、難しく考えすぎないでくださいね。
7つのGIVEも、心の持ち方も、今すぐ全てを完璧にこなす必要なんて、どこにもないのですから。
もし、あなたが「最初の一歩を踏み出してみたい」と、そう感じてくださったのなら、最後に一つだけ、試してみてほしいことがあります。
それは、今日、あなたが立ち寄るコンビニやスーパーで、レジの店員さんに、いつもよりほんの少しだけ丁寧な笑顔で、「ありがとう」と伝えてみることです。
それは、ほんの些細な、一瞬の出来事かもしれません。
相手は気づかないかもしれないし、何の反応も返ってこないかもしれません。
ですが、その温かい言葉のやり取りこそが、あなたの心を豊かにし、明日を少しだけ明るく照らす、何にも代えがたい「成功体験」となるのです。
これこそが、あなたを幸せにするGIVEの、尊い、尊い第一歩です。
あなたのGIVEは、巡り巡って誰かを幸せにするかもしれません。
ですが、どうか忘れないでください。
あなたのその優しさは、他の誰よりもまず、世界で一番、あなた自身を幸せにしてくれるのですから。
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