上司の、あの言い方。
友人が投稿した、楽しそうな写真…。
そんな些細なことが、なぜか一日中、頭から離れなくて、心が重たくなっていませんか?
大丈夫。
この記事を読み終える頃には、悩みを“客観視できるもう一人の自分”が手に入り、クヨクヨ悩む時間が驚くほど減っていきますよ。
ここでは、その具体的な方法として、人生の様々な場面で使える「6つの思考の道具」と、それを支える「たった一つの小さな習慣」を、丁寧にご紹介しますね。
これらはただの精神論ではなく、心理学や脳科学にも裏付けされた、とても現実的なテクニックですから。
さあ、その具体的な方法を見ていきましょう。
「小さな悩み」に心が囚われる本当の理由と、そこから抜け出すマクロ視点という希望
「上司の一言が頭から…」日常に潜む、視野が狭くなる「ミクロ視点の罠」
「これ、お願いできるかな」
上司の、何気ない一言。
ただ、その声のトーンが、いつもよりほんの少しだけ低かった。
それだけで、「あぁ、私なにか機嫌を損ねるようなことをしただろうか…」って、仕事中ずっと、頭の片隅でその場面がぐるぐると再生されてしまう。
友人がSNSに投稿した、楽しそうな写真。
心から「おめでとう」って思う。
うんうん。
でも、その気持ちとは裏腹に、胸の奥の方がずしりと重たくなる。
「それに比べて、自分は…」なんてね。
…本当に、厄介なものですよね。
こういうのって。
こういう時、私たちの心の中では、たった一つの出来事に思考が完全にハイジャックされて、大切な心のエネルギーがごっそり吸い取られてしまうような状態になっています。
そうそう、まるでパソコンのメモリが、一つの重たい作業に100%占有されて、他のことがなーんにも手につかなくなる、あのフリーズ状態によく似ています。
私はこの誰もが陥る思考の癖を、「ミクロ視点の罠」みたいに呼んでいます。
誰の心にも潜んでいる、ごく自然な働きなんです。
「思考の道具」で自分を守る必要がある
そもそも、
- 細かいことが気になる
- つい考えすぎてしまう
というのはね、あなたが物事にとても誠実で、責任感が強いことの、何よりの裏返しでもあります。
本当にいい加減な人は、そもそも他人の声のトーンなんて、これっぽっちも気にしませんから。
だから、どうか「また考えすぎちゃった…」なんて、責めないであげてくださいね。
わたし自身も一つの失敗に何日も囚われて、眠れない夜を過ごしたものです。
ただ、そのあなたの真面目さや優しさが、時として自分自身を内側からすり減らしてしまう「諸刃の剣」になっているとしたら
…それは、少しだけ、やり方を変えてみる必要があるのかもしれません。
だからこそ、必要になるのが、自分を守るための「思考の道具」なんです。
生まれ持った繊細な気質を、無理やり変える必要なんてありません。
でも、その大切な気質とうまく付き合っていくための「道具」の使い方を学ぶことは、誰にだってできるのです。
この記事でご紹介する「マクロ視点」は、怪しい精神論や、無理やりのポジティブシンキングとは全く違います。
むしろ、肌身離さず持っておくべき、一生ものの「心の護身術」のようなものだと考えてみてください。
この記事を読めば、悩みを客観視できる「もう一人の自分」が手に入ります
この記事をゆっくりと読み終える頃、あなたに約束できることがあります。
それは、悩みの渦中にいながらも、その状況をふっと冷静に、少し離れた場所から観察できる「もう一人の自分」の視点が手に入る、ということです。
感情の荒波にただ飲み込まれるのではなく、その波の性質を見極めて、ひらりと乗りこなすサーファーのように、しなやかに物事と向き合えるようになる。そんな感覚に近いかもしれませんね。
この記事を通して、あなたは
人生の様々な局面で使える『6つの思考ツール』と、
それを支える『1つの小さな習慣』を手に入れることになります。
-
第1章で、そもそも「マクロ視点」って何だろう?という全体像を、
-
第2章では、なぜそれが悩みに効くのかを、科学や哲学の視点から深く掘り下げ、
-
第3章では、あなたの具体的な悩みに合わせた、今日からできる実践的なトレーニングを、
-
第4章では、実践でつまずかないための、ちょっとしたヒントを、
一つひとつ、丁寧にお伝えしていきますね。
さあ、あなたの世界を少しだけ広げてみませんか。
【この章のポイント】
私たちが悩みに囚われるのは、誰にでもある「ミクロ視点の罠」という思考の癖が原因。
考えすぎてしまうのは、あなたが物事に真剣な証拠。だから、自分を責めなくて大丈夫。
マクロ視点とは、自分を守るための「思考の道具」。この記事を読めば、その具体的な使い方がわかる。
【第1章】人生のOSを書き換える「マクロ視点の思考法」とは何か?
結論 マクロ視点とは?小さな悩みが気にならなくなる「思考の解像度」を操る技術
単刀直入に、まず結論からお話ししますね。
「マクロ視点」とは、一言でいえば「物事を全体や大局から捉える考え方」のことです。
…うん、でも、これだけだと少し漠然としていて、なんだか自分ごとには感じにくいですよね。
この考え方を、もう少し違う言葉で説明したいと思っています。
普段、私たちは目の前の悩みや出来事を、まるで4Kテレビのような、ものすごく性能の良い“高解像度”で見ています。
だから、相手の眉間に寄った一本のシワ、メールの文末にある句読点が「。」なのか「!」なのか、そんな本当に些細な部分まで、くっきりと見えて、気になってしまう。
それに対してマクロ視点とは、その思考の解像度を、意図的にぐっと引き下げる技術のことなのです。
高解像度で見ていた景色のピントを、あえて少しだけ、ふわっとぼやかしてみる。
すると、これまで気になっていた細かなノイズは自然と消えて、その代わりに、景色の「全体像」や「本質的な構造」が、すーっと浮かび上がってくる。
…そんなイメージを持っていただくと、分かりやすいかもしれませんね。
木の葉についた一匹の虫(ミクロ)を、顔を近づけてじっと見つめるのではなく、
森全体(マクロ)の美しさや、ああ、季節が移ろいでいるなあ、って感じで
その大きな流れを、ゆったりと眺めてみる。
そんな心の使い方のことです。
あなたはどっち?「鳥の目(マクロ)」と「虫の目(ミクロ)」の違いと具体例
この二つの視点は、昔からよく「鳥の目」と「虫の目」という言葉で説明されてきました。
違いが一目で分かるように、簡単な表にまとめてみましたよ。
項目 | 鳥の目(マクロ視点) | 虫の目(ミクロ視点) |
視点 | 森全体、大局的、長期的 | 木の一本、具体的、短期的 |
時間軸 | 1年後、10年後 | 今日、今この瞬間 |
心の状態 | 冷静、客観的、受容的 | 感情的、主観的、反応的 |
思考の焦点 | なぜ?(本質)、どう繋がる? | 何を?(具体)、どうやる? |
例えば、あなたが「仕事でプレゼンに失敗した」という状況にいるとしましょうか。
虫の目(ミクロ視点)になっている時、あなたの頭の中は、きっとこんな感じ。
「ああ、あのスライドの言い回しがまずかった…」
「部長の顔が明らかに曇っていた、きっと呆れられたに違いない…」。
後悔と自己嫌悪が、ぐるぐると、洗濯機の中みたいに頭を巡ります。
一方で、鳥の目(マクロ視点)に切り替えてみると、景色はがらりと変わります。
「なるほどな。今回の失敗のおかげで、提案のどの部分がお客様に響かないのかが、はっきりと分かった。これは次の成功のための、すごく価値あるデータが取れたということだ」。
失敗が、次への学びと、具体的な次の一歩に繋がっていくのですね。
どちらが良い・悪い、ということでは、決してありません。
どちらの視点「も」、私たちには、なくてはならない大切なものなのです。
【最重要】「虫の目」を侮るな。実行力を支えるミクロ視点の価値と、最強の使い分け
ここまでマクロ視点の魅力をお伝えしてきましたが、これだけは、絶対に誤解しないでほしいことがあります。
それは、マクロ視点だけでは、現実は1ミリたりとも動かない、ということです。
どんなに壮大な事業計画も、どんなに美しいデザインも、最終的には目の前の一行のコードを書き、一本の電話をかけ、一枚のスライドを仕上げるといった、地道で、具体的な作業によってしか形になりません。
「神は細部に宿る」とはよく言ったもので、この細部へのこだわり、つまり「虫の目(ミクロ)」の働きなくして、何かを成し遂げることなど、土台無理な話なのですね。
じゃあ、どうすればいいのか。
本当に賢い人たちが自然と実践している、最強の思考法。
それは、この二つの視点を意識的に、そして高速に“往復”することです。
とてもシンプルですが、これが本質です。
計画を立てる時、そして道に迷ってしまった時は、ふっと「鳥の目」になる。
そして、目の前の仕事や作業に集中する時は、ぐっと「虫の目」になる。
この使い分けの指針を、ぜひ、心の片隅にでも置いておいてください。
注意点!マクロ視点に偏る危険性とは?最初にデメリットを解説!
多くのメリットをお話しする前に、マクロ視点に偏りすぎることの危険性(デメリット)から、先にお伝えさせてくださいね。
どんなに強力な道具も、使い方を間違えれば、自分を傷つけてしまうことがありますから。
-
現実逃避の、都合のいい口実になる
「宇宙の歴史から見れば、こんな仕事の締め切りなんて、ちっぽけなことさ…」なんて言って、目の前のやるべき課題から逃げるための、もっともらしい言い訳になってしまう危険性。うーん、これはちょっと、違いますよね。
-
行動力が、かえって低下してしまう
大局ばかりを語る評論家のようになってしまって、具体的な一歩が踏み出せなくなることもあります。「もっと根本的な問題は…」なんて考えるあまり、肝心の足元がおろそかになってしまうのですね。
-
人への共感が、少し欠けてしまう
悩んでいる友人に対して、「もっと大きな視点で見ればたいしたことないよ」なんて、無神経なアドバイスをしてしまう危険性も。相手は今、「虫の目」の世界で、必死に苦しんでいるんだ、ということを忘れてはいけません。
どうか覚えておいてほしいのは、マクロ視点は、現実をより良く、楽に生きるための
「道具」であって、現実から目をそらすための「隠れ蓑」ではない、
ということです。
【この章のポイント】
マクロ視点とは、意図的に「思考の解像度」を下げて、物事の全体像や本質を捉える技術のこと。
最強の思考法は「鳥の目(マクロ)」と「虫の目(ミクロ)」を、意識的に行ったり来たり“往復”すること。
マクロ視点は、使い方を間違えると単なる現実逃避の言い訳になりかねないので、そこは注意が必要。
【第2章】なぜマクロ視点で悩みは消える?科学と哲学が示す3つの根拠
マクロ視点を持つと、不思議と気持ちが楽になる。
それは、単なる「気の持ちよう」とか、「思い込み」の力なのでしょうか。
いいえ、実はそうではないんですよ。
その背後には、私たちの心や脳の仕組みに根ざした、とてもしっかりとした理由が存在するのです。
ここでは、その根拠を「心理学」「脳科学」「哲学」という、三つの異なる窓から覗いてみることにしましょう。
【心理学】“悩みとの距離”が理性を呼び覚ます「自己距離設定」という心の作用
悩みの渦中にいる時って、私たちの心は、まるで悩みに“憑依”されてしまったような状態になっていますよね。
悩みと自分が完全に一体化してしまって、他のことが何も考えられなくなる。
あなたにも、そんな経験、きっとあるのではないでしょうか。
ミシガン大学の心理学者であるイーサン・クロス教授は、この状態から抜け出すための鍵が「自己距離設定(Self-Distancing)」という心の働きにあることを、数多くの研究で明らかにしています。
(引用元:イーサン・クロス著『Chatter:「頭の中のおしゃべり」をコントロールし、最良の自分になる方法』)
これは、ごくごく簡単に言えば、
自分の経験を、まるで壁にかけられた一枚の絵を眺めるかのように、少し離れた場所から客観的に見つめる、
という心理的な技術のことです。
例えば、
「あぁ、もうダメだ…」
と落ち込んでいる自分自身を、部屋の天井の隅っこから、もう一人の自分が
「おや、彼は今、ずいぶんと落ち込んでいるようだ。一体、何があったのだろうか?」
なんて、静かに眺めているような感覚。
…少し不思議な感じがしますか?
彼の研究では、過去の嫌な経験を
「なぜ、彼はあんなことをしたんだろう?」
と三人称で振り返ることで、感情的な動揺が減り、冷静な分析ができることが示されています。
でも、お気づきでしょうか。
「マクロ視点」を持つという行為は、まさにこの「自己距離設定」を、意図的に、そしてとても強力に実践していることと、全く同じなのです。
悩みと、あなた自身の間に、穏やかな「距離」が生まれる。
その距離が、感情の暴走にそっとブレーキをかけ、冷静な思考を取り戻すための、何より大切な“心の余白”になってくれるのですよ。
【脳科学】感情の暴走「扁桃体ハイジャック」から、思考の主導権を取り戻すメカニズム
この心理的な変化の裏側で、私たちの脳もまた、非常に興味深い反応を示しています。
私たちの脳には、ざっくりと分けて、
物事を冷静に判断する司令塔の役割を持つ「前頭前野(理性の脳)」と、
好き・嫌いや恐怖といった、もっと原始的な感情を司る「扁桃体(感情の脳)」があります。
悩みに囚われている時というのは、この「感情の脳」が、まあ、いわば興奮して暴走してしまって、「理性の脳」の働きを乗っ取ってしまっている状態なのです。
これを脳科学の世界では、少し物騒な言葉ですが「扁桃体ハイジャック」と呼んだりします。
(参考:ダニエル・ゴールマン著『EQ こころの知能指数』)
まさに、感情が、あなたの理性をハイジャックしている状態、なのですね。
ここで、「…待てよ。10年後の自分は、この悩みをどう思うだろうか?」と、意識的にマクロ視点へと切り替えてみたとします。
すると、脳の中では一体、何が起きるのか。
驚くことに、これまで「感情の脳」にばかり集中していた脳の活動(血流)が、すーっと、まるで潮が引くように「理性の脳」へと移動していくことが分かっています。
つまり、マクロ視点への切り替えは、
感情の暴走から思考の主導権を奪い返すための、物理的な“脳のスイッチ”のような役割を果たしてくれる、というわけです。
あなたが感情に流されやすいのは、決して意志が弱いから、というわけではない。
ただ、脳の仕組みを知って、そのスイッチの入れ方を知っているかどうか。
もしかしたら、ただ、それだけのことなのかもしれませんね。
【ストア哲学】変えられない現実への”執着”を手放す、古代ローマの賢者の知恵
実は、この「自分と出来事を切り離して考える」という知恵は、何も最近の科学が発見した専売特許ではありません。
今から、なんと約2000年も前の、古代ローマの賢者たちも、同じ結論にたどり着いていたのですから。
その代表的な一人が、ローマ皇帝でありながら、哲学者でもあった、マルクス・アウレリウス。
権力の頂点に立ち、私たちの想像を絶するほどのストレスの中で生きた彼が、自らの心を静めるために書き記したのが、有名な『自省録』という書物です。
そのストア派哲学の核心を、ものすごくシンプルに一言でいうと、こうなります。
「私たちにコントロールできるのは、起きた出来事そのものではなく、それに対する自分の“解釈”と“反応”だけである」。
例えば、「乗るはずだった電車が、目の前で行ってしまった」という事実は、もう私たちにはコントロールできません。
しかし、それに対して
「なんて日だ!最悪だ!」とイライラして一日を台無しにするのか、
「まあ仕方ない。次の電車が来るまで、溜まっていたメッセージでも返信しよう」と考えるのか。
その“反応・解釈”は、100%、私たち自身が選ぶことができる、というのです。
マクロ視点とは、まさに、この“自分で選べる領域”に、心のピントを合わせるための、ズーム機能のようなもの。
変えられない現実への、無駄な執着を手放す。
そして、自分が変えられる、自分の心のあり方に、エネルギーを集中させる。
…どうでしょう。
これは、ストレスの多い現代を生きる私たちにとって、極めて実践的な知恵だとは思いませんか。
【この章のポイント】
心理学の視点 マクロ視点は、悩みと自分の間に「距離」を作り、冷静な心を取り戻させてくれる。
脳科学の視点 マクロ視点は、脳の活動を「感情」から「理性」へと切り替え、感情の暴走を鎮めるスイッチになる。
哲学の視点 マクロ視点は、変えられない現実ではなく「自分の解釈」に集中するという、古代からの賢者の知恵の実践である。
【第3章】悩み別 あなたの人生を好転させるマクロ視点の鍛え方【実践トレーニング6選】
さて、ここからは最も実践的なパートですよ。
マクロ視点という、少し大きくて掴みどころのない考え方を、あなたの日常にしっかり根付かせるための、具体的なトレーニング方法を6つ、ご紹介しますね。
大切なのは、これを全部、一度にやろうとしないこと。
今のあなたが
「あ、これならできそうだな」
「うんうん、この悩み、今の私に近いな」
と感じるものから、まずは一つ、お試し気分で、気軽に手をつけてみてください。
Case1【対人関係のイライラ】に効く解決策 → 他人との間に“健全な境界線”を引く思考法
理不尽なことを言う上司。
心ない一言を平気で放つ同僚。
なんだか分からないけど、不機嫌なパートナー。
…いますよねぇ。
そういう時、相手のことで頭がいっぱいになって、一日中、気分がどんよりと曇ってしまう。
そのイライラの正体。
それは、あなたが無意識のうちに
「相手の課題」と「自分の課題」をごちゃ混ぜにしてしまっていることにあります。
あなたがコントロールできないはずの、相手の言動や感情を、どうにかしようともがくから、心が疲れてしまうのですね。
そんな時に、すっごく効くのがこの思考法です。
-
ステップ1 「これは、さて、誰の課題だろうか?」と心の中で問いかける
上司が理不尽な要求をするのは、突き詰めれば、あくまで「上司の課題」です。それに対して、あなたがどう誠実に対応するかは、ちゃんと「あなたの課題」。
この間に、すーっと一本、透明な境界線を引くイメージを持ってみてください。
相手の機嫌という重たい荷物まで、あなたが背負ってあげる必要は、どこにもないのですから。
-
ステップ2 自分の感情を「三人称」で、こっそり実況中継してみる
「(自分の名前)は今、〇〇さんの言葉に、心がチクリと痛んでいるようだ。自分の正義感が、ちょっと揺さぶられているんだな」というように。自分の心の状態を、まるでテレビのアナウンサーになったつもりで、客観的に描写してみるのです。
不思議なもので、これだけで感情の渦からすっと抜け出せて、驚くほど冷静になれますよ。
これは、決して、冷たい人間になる、ということではありません。
むしろ、
自分の心の平穏を、まず自分でしっかりと守った上で、相手と向き合うための、しなやかで、とても大人な知恵なのです。
Case2【仕事の失敗や後悔】に効く解決策 → 失敗を“未来への伏線”に書き換える思考法
大事なプレゼンで、緊張のあまり頭が真っ白に…。
クライアントへの大切なメールで、後から見返したら、恥ずかしい誤字が…。
あぁ…仕事の失敗って、本当に、へこみますよね。
ベッドに入っても、その場面が何度も何度も、頭の中で再生されてしまう。
そんな、どうしようもない後悔の念に囚われてしまった時、ぜひ思い出してほしいのが、Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズが語った「Connecting the Dots(点と点をつなぐ)」という考え方です。
彼は、大学を中退した後に、ただ興味本位で学んだカリグラフィー(文字のデザイン)の知識が、10年以上も経ってから、初代Macintoshの、あの美しいフォント機能として花開いた、という経験を語りました。
その瞬間には何の意味もないように思えた「点」が、後から振り返ってみた時に、未来を作る、なくてはならない「線」になっていた、というのです。
この考え方を、あなたの経験にも応用してみましょう。
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ステップ1 まず、失敗という「点」を、客観的な事実として書き出す
「悔しい」「恥ずかしい」という感情は、一旦、そっと横に置いておいて。「いつ、どこで、何が起きたか」という事実だけを、ノートやスマホのメモに、淡々と書き出してみてください。
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ステップ2「この“点”が、10年後の最高の自分に繋がる“伏線”だとしたら?」と問いかける
まるで、あなた自身の人生という映画の、脚本家になったつもりで。この失敗に、新しい「意味」を、あなた自身が与えてあげるのです。
「この時の、あの骨身にしみるような悔しさがあったからこそ、次は徹底的に準備するようになったんだ」
「この失敗のおかげで、人の痛みが分かる、優しいリーダーになれたんだよな」。
失敗は、ただの過去の汚点ではありません。
未来のあなたを、もっと深く、もっと輝かせるための、なくてはならない経験だった。
そう、あなた自身が捉え直すことができた時、後悔は、次の一歩を踏み出すための、温かいエネルギーに変わります。
Case3【将来への漠然とした不安】に効く解決策 → 不安を“客観的な点”に変える俯瞰の技術
キャリアのこと、お金のこと、人間関係、そして健康…。
夜、一人で静かな部屋にいると、ふと、正体不明の、モヤモヤとした霧のような不安が、胸いっぱいに広がること、ありませんか。
そんな、漠然とした不安に飲み込まれそうになった時にこそ、試してほしいのが、あなたの視点を、ぐーっと極限まで引き上げる、このトレーニングです。
天文学者のカール・セーガンは、探査機ボイジャー1号が、遥か宇宙の彼方から撮影した地球の写真を見て、こう語りました。
この広大な宇宙に浮かぶ、か細く、青い光の点(ペイル・ブルー・ドット)。
その、ほんの小さな点の上で、私たち人間が、どれだけ小さなことで悩み、争っていることかと。
-
ステップ1 Google Earthで、宇宙まで、ふらりと旅をしてみる
あの感覚を、今の時代、私たちは簡単に疑似体験できます。スマホの地図アプリを開いて、今あなたがいる場所から、指でぐーっと、画面をズームアウトしてみてください。
やがて日本列島が見え、地球がその丸い姿を現し、宇宙空間にぽつんと浮かぶ、一つの小さな存在になるはずです。
この、声も出ないほど壮大なスケール感に触れると、胸をぎゅーっと締め付けていた不安が、ほんの少しだけ、相対的なものに感じられるかもしれません。 -
ステップ2 その悩みに、こっそり「賞味期限」を設定してみる
これは、わたしが個人的によくやる、少しユニークな方法です。「さて、この不安、賞味期限はいつまでだろうか?」と、自分に問いかけてみるのです。「今から1年後も、自分はこれと全く同じことで、同じように悩んでいるだろうか?…いや、多分、それはないな」。
そう考えてみると、ほとんどの悩みが、実は「期間限定」のものであることに、きっと気づけるはずですよ。
不安は、消し去るべき敵ではありません。
未来への準備をそっと促してくれる“優しいアラーム”のようなもの。
この俯瞰の技術は、そのアラームの音量を、ちょうどいい塩梅にしてくれるものなのです。
Case4【他人への嫉妬や焦り】に効く解決策 → “自分の価値観”に立ち返るメタ認知トレーニング
SNSで見かけた、同僚の昇進報告。
友人の、幸せそうな結婚式の写真。
「おめでとう」って思う。
心から。
でも、その一方で、胸のあたりがザワザワして、自分だけが、なんだか取り残されたような焦りを感じてしまう…。
そのザワザワの正体は、あなたが無意識のうちに「他人のモノサシ」で、自分の価値や幸せを測ってしまっていることにあります。
そんな時は、「抽象化の梯子」を使って、自分の心の奥の奥を、静かに覗いてみましょう。
-
ステップ1 「…で、なんで自分は、こんなに焦っているんだろう?」と、問いを重ねる
「同僚が昇進して、焦っている」
→ なぜ? → 「自分の方ができるはずなのに、って、どこかで思っていて、悔しいから」
→ なぜ? → 「そっか…。自分は、他者から認められたい、すごいって思われたい、という気持ち(承認欲求)が、結構強いのかもしれないな…」
このように「なぜ?」を静かに繰り返すことで、表面的な出来事から、あなた自身の、隠れた価値観や本質的な欲求に、はっと気づくことができます。 -
ステップ2 「で、結局、自分は本当はどうしたいんだっけ?」と問いかける
自分の本心(例えば承認欲求)に気づけたら、次は、そっと「自分のモノサシ」に意識を戻します。「うん、人からの評価も大事。でも、自分がこの人生で本当に、本当に大切にしたいのは、目の前の仕事で、自分自身が納得できる最高のクオリティを出すことだ」。
そうやって、あなた自身の中心軸に、ちゃんと立ち返ることができた時、他人の物差しに、いちいち振り回されることは、自然と少なくなっていきますよ。
Case5【思考の堂々巡り】に効く解決策 → 尊敬する「あの人」を憑依させる思考実験
「どうしよう…」
「でも、やっぱり…」
「いや、でも…」
一つの悩みを、出口のない迷路の中みたいに、ただ、ただ、ぐるぐると考え続けてしまう。
そんな、思考の堂々巡りに、はまり込んでしまったことはありませんか。
これは、あなたの視点が、完全に一つに固まってしまって、視野が極端に、きゅーっと狭くなっている状態です。
そんな時は、少し遊び心を持って、強制的に他人の視点を“レンタル”してみましょう。
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ステップ1 あなたの尊敬する人を、一人、思い浮かべてみる
歴史上の人物でも、物語の登場人物でも、誰でも構いません。あなたが「ああ、この人のようになりたいな」と思う人を、具体的に一人、頭の中に、そっと召喚してみてください。
-
ステップ2 「もし、あの人なら、この状況をどう考えるだろう?」と、問いかけてみる
その人になりきって(いわば憑依して)、今のあなたの悩みを、その人の目で眺めてみるのです。「彼なら、『悩んでいる暇があったら、まず小さく試してみろ』って、きっと言うだろうな」「彼女なら、『全体から見れば、そんなの些細なことよ』って、カラカラと笑い飛ばすかもしれないな」。
不思議なもので、他人の視点というメガネをかけてみるだけで、これまで全く見えなかった新しい選択肢や、問題の意外な小ささに、はっと気づかされることが、本当によくあるのです。
Case6【交通渋滞など、予期せぬ足止め】に効く解決策 → “プロセス”を楽しむ余裕を生む思考法
大事な約束がある日に限って、高速道路で、まさかの大渋滞…。
前の車がノロノロ運転で、イライラがもう、頂点に…。
多くの人が経験したことのある、どうにもコントロールしようがない状況ですよね。
でも、少しだけ考えてみてください。
その、あなたのイライラは、目的地に着く時間を、1秒でも早めてくれるでしょうか。
このイライラの原因は、「目的地に、最短時間で着く」というミクロな目標に、あなたの思考が100%囚われてしまって、それが少しでも妨害されることを「損失」だと感じてしまうことにあります。
そんな時こそ、マクロ視点の出番です。
-
ステップ1 「進んでいる方向は、合っているだろうか?」と、自分に問いかける
まず、最も大きな目的を、そっと確認してみましょう。「うん、道は混んでいる。でも、自分はちゃんと、目的地の方向へ向かって、少しずつでも進んでいる。 この事実は、揺るがない」。
この、マクロな事実を再認識するだけで、焦る気持ちは、少しだけ落ち着くはずです。 -
ステップ2 「さて、この時間を、どう“意味付け”しようか?」と考えてみる
コントロールできない「時間」を取り戻そうと、イライラ、ジタバタするのではなく、あなたが100%コントロールできる「この時間の使い方」に、意識を切り替えてみるのです。「普段なかなか聞けないラジオ番組を聞く、絶好のチャンスだ」
「気になっていた音楽を、じっくり楽しむ時間にしよう」
「助手席のパートナーと、ゆっくり話せる良い機会だな」。
この時間を「損失」ではなく「予期せぬボーナスタイム」だと、あなた自身が能動的に意味付けできた時、イライラは、穏やかな心の余裕へと、きっと変わっていきます。
これは、人生という道のりそのものを、もっともっと豊かに楽しむための、とても大切な思考法でもあるのですよ。
【この章のポイント】
対人関係の悩みには、自分と他人の課題に「境界線」を引き、自分の感情を客観的に実況してみる。
失敗と後悔には、その失敗を未来への「伏線」と捉え直し、あなただけの物語を編集してみる。
将来への不安には、宇宙的な視点で不安を相対化し、「賞味期限」を設けて客観視してみる。
嫉妬と焦りには、「なぜ?」を繰り返し、自分の本心に気づき、「自分のモノサシ」を取り戻す。
思考の堂々巡りには、尊敬する「あの人」の視点をレンタルし、思考の袋小路から抜け出してみる。
予期せぬ足止めには、進むべき方向(マクロ)は合っていると確認し、その時間をどう楽しむか(ミクロ)に集中してみる。
【第4章】Q&A マクロ視点の思考法が続かない…実践の「3つの壁」と挫折しないための乗り越え方
さて、ここまで色々なトレーニング方法をご紹介してきましたが、新しい思考法を身につける、というのは、そう簡単なことではありませんよね。
実践していく中で、きっと「うーん、なんだかうまくいかないな…」と感じる瞬間も、必ず訪れるはずです。
でも、どうか安心してください。
それは、あなたが、とても真剣に、このテーマと向き合っている、何よりの証拠なのですから。
ここでは、多くの人がぶつかりがちな「3つの壁」と、それをひょいと軽やかに乗り越えるためのヒントを、あらかじめお伝えしておきますね。
いわば、転ばぬ先の杖のようなもの。
壁①「理屈は分かるけど、感情が追いつかない」→ 完璧じゃなくていい。まずは30点で自分を褒める
頭では「これは大したことない」と、ちゃーんと分かっている。
分かっているのに、カッとなってしまって、つい相手に強い言葉をぶつけてしまった…。
そして、後から一人になって冷静になって、
「あぁ…またやってしまった…」
と、深い自己嫌悪に陥る。
これは、多くの人が、本当に多くの人が、最初に経験する壁かもしれませんね。
でも、大丈夫。
それは、ものすごく自然な反応なんですよ。
なぜなら、私たちが何十年もかけて、無意識のうちに作り上げてきた「感情の反射回路」というのは、そう簡単には変わらないからです。
急カーブを、いきなりスムーズに曲がれないのと、全く同じです。
これは、あなたの意志が弱いから、という問題では、決して、決してありません。
そんな時は、完璧を目指すのを、もう、きっぱりとやめてみましょう。
目標は100点じゃなくていいんです。
まずは30点で、もう、はなまる満点です。
イラっとした、その瞬間に、ほんの一瞬でも「あ、いけない。今、自分はミクロ視点に囚われているな」と、“気づけた”。
それだけで、本当に、100点満点の素晴らしい進歩なのですから。
感情に流されてしまった自分を、どうか責めないでください。
その代わりに、その事実に後からでもちゃんと気づけた、客観的な視点を持てた自分自身を、「よく気づけたね」と、具体的に、優しく褒めてあげてください。
思考の筋肉というのは、そうやって、少しずつ、ゆっくりと、確実に育っていくものなのです。
壁②「結局、また同じことで悩んでしまった…」→ 悩む回数が減ったなら、それが成長の証
「せっかくマクロ視点を学んだのに、また同じような人間関係で悩んでいる…」「結局、自分は何も変われていないじゃないか…」。
実践を続けていると、今度はこんな風に、自分の成長がぴたりと止まってしまったように感じて、焦ってしまうことがあるかもしれません。
この焦りの原因は、あなたが無意識のうちに、成果を「悩みの有無」、つまり0か100かで判断してしまっていることにあります。
これは、はっきりとお伝えしておきますが、この先、あなたの人生から悩みが完全にゼロになる、ということは、残念ながら、ありません。
大切なのは、比べる相手を変えてみることです。
他人や、どこかの理想の自分と比べるのではありません。
あなたが比べるべき相手は、この世にたった一人。
「1ヶ月前のあなた」です。
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悩みに囚われてしまう頻度は、以前と比べて、少しでも減っていませんか?
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一度悩み始めてから、そこから抜け出すまでの時間は、少しでも短くなっていませんか?
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以前はただ感情的に落ち込むだけだったのが、今は少しでも「ああ、これは自分の〇〇という癖が原因だな」と分析できる瞬間が、一瞬でもありませんでしたか?
もし、このうちのどれか一つでも「そういえば、そうかも…」と思い当たることがあるのなら、あなたは間違いなく、着実に成長しています。
私たちの成長は、まっすぐな上り坂ではないのですね。
どちらかというと、螺旋階段を、一歩一歩のぼっていくようなものです。
だから、時々、同じ景色が見えて「あれ、進んでないのかな?」と感じることもある。
でも、ちゃんと見てみれば、あなたは確実に、以前よりも少しだけ、高い場所に立っている。
そのことに、どうか、気づいてあげてください。
壁③「マクロ視点になりすぎて、行動できなくなった」→ 「鳥の目1分、虫の目9分」の黄金比を意識する
これは、少し意外に思われるかもしれませんが、マクロ視点を学ぶことで、かえって行動的でなくなってしまう、というケースです。
「まあ、長い目で見ればこの仕事も、ねぇ…」なんてことが口癖になって、目の前の仕事への情熱や、細部へのこだわりが、なんだか薄れてしまった。
まるで、自分だけが少し醒めた目で世界を見ているような、地に足がついていない、ふわふわとした感覚。
もし、あなたがそんな状態に陥ってしまったとしたら、
それは
「鳥の目」と「虫の目」のバランスが崩れて、「鳥の目」の世界に滞在する時間が、少しだけ長くなりすぎている、
というサインです。
そんなあなたに、わたしから、一つの具体的な指針を提案させてください。
それは、「鳥の目1分、虫の目9分」という、黄金比を意識してみることです。
例えば、朝一番に、温かいコーヒーでも飲みながら、「鳥の目」になって、今日の仕事の全体像と「うん、自分は今日、何のためにこれをやるんだっけ?」という目的を、たった1分だけ確認する。
そして、それが終わったら、あとはもう終業時間まで、徹底的に「虫の目」になりきって、目の前の一つのタスクに、ぐっと全神経を集中させる。
マクロ視点を「カーナビ」、ミクロ視点を「アクセルとハンドル」だと考えてみてください。
最初にナビで目的地とルートを確認したら(鳥の目)、あとはもう、運転そのものに集中しなければ、事故を起こしてしまいますよね(虫の目)。
常にナビの画面をじーっと凝視しながら運転する人は、どこにもいません。
それと全く同じで、時々、顔を上げて方角を確認したら、またすぐに足元を見て、着実な一歩を踏み出す。
その、しなやかで、健全なバランス感覚を、どうか忘れないでいてくださいね。
【この章のポイント】
感情が追いつかない時は、完璧を目指さない。「気づけた」だけで100点満点、と自分を褒めてあげる。
成長が感じられない時は、「過去の自分」と比べる。螺旋階段を登るように、少しずつでも成長している自分に気づく。
行動できなくなった時は、「鳥の目1分、虫の目9分」の黄金比を意識して、目の前の作業に集中する時間を作る。
まとめ マクロ視点の思考法で悩みを消す。あなたの世界を広げる、はじめの一歩
私たちは毎日、目の前の、本当に些細な出来事に心を揺さぶられる「ミクロの罠」の中で生きています。
それは時として、とても窮屈で、息が詰まりそうになることもありますよね。
しかし、この記事をここまで読んでくださったあなたは、もう大丈夫。
その小さな罠から、いつでも、あなた自身の力で抜け出すための、強力で、そして何より優しい「思考の道具」を、その手に持っているのですから。
マクロ視点は、人生の“灯台”であり、日々の行動を導く“北極星”である
どうか、覚えておいてください。
マクロ視点という考え方は、ただ悩みの嵐から、あなたの身を守るだけのシェルターではありません。
あなたの人生を一つの航海とするならば、マクロ視点とは、あなたが本当に目指すべき港の場所を、遠くから静かに示してくれる“灯台”の光のようなものです。
私たちは日々、目の前の波を必死に越え、小さな舵を一生懸命に取る(ミクロ)必要があります。
それは、とっても尊いこと。
しかし、時々、ふっと顔を上げて、
「さて、あの灯台の光は、どの方角に見えるだろうか?」
と確認(マクロ)しなければ、その尊い努力も、いつしか無駄になり、全く違う場所に漂着してしまうかもしれないのです。
ですから、ぜひ、試してみてほしいのです。
週に一度、例えば日曜の夜にでも、5分だけでいい。目を閉じて、あなたの人生の灯台を、ぼんやりと心に思い浮かべてみてください。
そして、「今週の、自分のこの小さな一歩一歩は、ちゃんと、あの光の方向へ向かっていただろうか?」と、あなた自身に、優しく問いかけてあげるのです。
この静かな対話こそが、あなたの日々の行動に、力強い意味を与え、人生の航路を、確かに照らし続けてくれる、夜空に輝く北極星のような存在になるのですよ。
【約束】今日、寝る前に1分。「今日の出来事を、1年後の自分はどう思う?」と問いかける
さて、本当に、本当に最後に。
たった一つだけ、お願いがあります。
今日から新しい習慣を、いくつもいくつも実践する必要はありません。
完璧じゃなくて、本当にもう、全然いいんです。
ただ一つだけ。
これなら、まあできそうかな、ということだけ、今晩試してみてはくれませんか。
それは、
今日、ベッドに入って、目を閉じた後。たった1分でいいので、今日あった出来事を「1年後の自分」が振り返っているとしたら、一体、何と思うだろうか?と、静かに想像してみること。
今日の、あのイライラした出来事も、胸が張り裂けそうになった不安も、顔から火が出るほど後悔した失敗も…。
1年後のあなたにとっては、きっと、ほとんど記憶にも残らない、本当に些細な出来事になっているかもしれません。
あるいは、あの経験があったからこそ今の自分があるんだ、と、懐かしく、少しだけ愛おしく、思い出しているかもしれない。
この、たった1分間の思考の習慣は、あなたの思考のOSを、ゆっくりと、しかし確実に書き換えていくための、小さくも強力な、再起動スイッチです。
どうか、騙されたと思って、今晩から試してみてください。
その小さな習慣が、あなたの人生をより広く、自由なものへと変えていく
その、たった1分の小さな習慣の積み重ねが、やがてあなたの見える世界を、そして人生そのものを、あなたが今、心の中で思っているよりも、ずっとずっと広く、風通しの良い、自由な場所へと変えていくはずです。
あなたの人生は、他の誰のものでもない、あなたが主人公なのですから。
さあ、心の指針を手に、あなただけの素晴らしい航海を、これからも、心ゆくまで楽しんでいってくださいね。
【この章のポイント】
マクロ視点は、日々の行動を導く「灯台」であり、週に一度、その方角を確認する習慣を持つと、人生に一貫性が生まれる。
難しく考えず、まずは「今日の出来事を、1年後の自分はどう思うか?」と、寝る前に1分だけ考える習慣から始めてみる。
その小さな一歩が、あなたの人生を、より広く、より自由なものへと、確実に変えていく。
この記事が、あなたの心を少しでも楽にするきっかけになれたなら幸いです。このブログでは、他にも、あなたの日々が少しだけ豊かになるような、様々な「考え方の道具」をご紹介しています。もしよろしければ、他の記事も、散歩するような気分で、覗いてみてくださいね。
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