いつも周りのことを考えて、自分の気持ちは後回し…。
理由もなくイライラしたり、急に悲しくなったりして、そんな自分に、少し疲れてしまっていませんか?
もし、そう感じているのなら、それはあなたがとても優しく、毎日を真面目に一生懸命に生きている、何よりの証拠です。
でも、ほんの少しだけ、立ち止まってみませんか。
私たちはいつの間にか、心に湧き上がる「感情」を、見て見ぬふりをしたり、無理に押さえつけたりする「厄介者」だと思ってしまいがちです。
でも、もし。
その感情こそが、あなたを本当の幸せに導く
“最強の味方”であり、毎日を輝かせる“パワフルなエネルギー源”だとしたら。
この記事では、小手先のテクニックではありません。
心理学や脳科学の知見に基づいた、誰にでもできる「シンプルな3つの習慣」をご紹介します。
この記事を読み終える頃には、感情との新しい付き合い方がわかり、気持ちが楽になるだけでなく、驚くほど毎日が楽しくなっているはずです。
- なぜ? あなたが「自分の気持ち」に蓋をしてしまう、たった1つの根本原因
- 感情のコントロールとは「抑える」ことじゃない。「乗りこなす」という新常識
- 【超入門】まずは今夜から。1分で心が静まる「感情の深呼吸」のやり方
- 【実践編】感情を大切にするとは?驚くほど毎日が楽しくなる3つの新習慣
- 【応用編】「楽しい」を育てよう。ポジティブな感情を最大化し、幸福度を高める方法
- 【シーン別】仕事と人間関係の悩みが軽くなる「感情」の乗りこなし術
- 「感情を大切にする」が自然に続くようになる、3つのお守りの言葉
- もう迷わない。「感情を大切にすること」でよくある5つの質問(Q&A)
- (まとめ)さあ、あなたの「心の声」を聴くことから始めよう
なぜ? あなたが「自分の気持ち」に蓋をしてしまう、たった1つの根本原因
自分のことなのに、自分の気持ちがよく分からない…。
そう感じてしまうのは、とても不安で、心細いことですよね。
でも、安心してください。
あなたがそうなってしまったのには、ちゃんとした理由があるんです。
そして、それは決して、あなたの心が弱いから、というわけではありません。
まずはその原因を、一緒に、ゆっくりと紐解いていきましょう。
「ネガティブな感情はダメ」その思い込みが、あなたを苦しめていた
「泣いちゃダメよ」
「いつまでもメソメソしないの」
「怒るなんて、みっともない」
子供の頃、そんな風に言われた経験は、ありませんか?
悪気なくかけられたであろう、そういった一つひとつの言葉。
それを繰り返すうちに、私たちは無意識のうちに、心の中に一つの大きな“思い込み”を、そっとインストールしてしまったのかもしれません。
それは、
「ネガティブな感情は、感じてはいけないダメなものだ」
という、強力な思い込みです。
私たちの心を、こんこんと水が湧き出る「泉」だと想像してみてください。
嬉しい、楽しいといったキラキラした水もあれば、悲しい、悔しいといった濁った色の水もあります。
本来、それらが自然に湧き出ては流れていくのが、健康な心の状態です。
でも、私たちは「濁った水はダメだ」と教わってきました。
だから、イライラや悲しみという濁った水が湧き出るたびに、
「出てきちゃダメだ!」
と、必死で石の蓋をする。
これを何度も、何年も繰り返しているうちに、どうなるでしょう。
…そう。
泉全体が、重たい石の蓋でびっしりと覆われてしまうのです。
そして、いつしか私たちは、濁った水だけでなく、
本来湧き出るはずだった「嬉しい」「楽しい」といった清らかな水さえも、感じることができなくなってしまった。
これが、「自分の気持ちが分からない」という状態の、とてもシンプルな正体なんです。
…でもね。
ここで、一番あなたに伝えたいことがあります。
その“蓋をする”という行為は、決して悪いことだけではないんですよ。
むしろ、当時の小さなあなたが、傷つきやすい自分を、そして周りの人を困らせないようにと、
必死で自分を守るために編み出した、とても賢くて、健気な生存戦略
だったんですよ。
だから、まずはそんな風に頑張ってきたご自身のことを、「よくやってきたね」と、心の中でそっと褒めてあげてほしいのです。
それはあなたのせいじゃない。現代社会がもたらす「心の便秘」とは
そして、その思い込みは、決してあなた一人のせい、というわけでもないんです。
少し周りを見渡してみると、現代の社会そのものが、私たちの心に蓋をしやすい環境になっていることに気づきます。
私はそれを、
「感情の停滞」と呼んでいます。
ちゃんと感じて、外に出すべき感情が、心の中に溜まってしまっている状態ですね。
この「感情の停滞」を引き起こす、大きな原因が2つあります。
-
原因① SNSによる「感情の消化不良」
他人の「キラキラした日常」が、24時間いつでも見えてしまう時代です。海外旅行、素敵なディナー、幸せそうな家族の写真…。そういった情報過多な食事ばかりを毎日見ていると、自分の素朴な日常とのギャップに、なんだか心が疲れてしまう。本当の気持ちが消化できなくなってしまう感じ、ありませんか? -
原因② コミュニケーションの変化による「心の運動不足」
かつての職場や地域にあった、何気ない挨拶や雑談。ああいった「感情のキャッチボール」は、実は心の健康にとって、とても良い運動になっていました。しかし、リモートワークの普及などでそうした機会が減り、私たちの感情は外に出るチャンスを失い、内にこもりがちになっているのかもしれません。
だから、もし今あなたが「なんだか自分の気持ちがわからないな」と感じていたとしても、それはごく自然なこと。
多くの人が、あなたと同じように“感情の停滞”に、知らず知らずのうちに悩んでいる。
まずは、そのことを知っておいてくださいね。
【この章のポイント】
私たちが自分の気持ちに蓋をしてしまうのは、「ネガティブな感情はダメだ」という子供の頃からの思い込みと、SNSなどに代表される現代社会の環境が原因です。それはあなたのせいではなく、自分を守るための健気な戦略だったのです。
感情のコントロールとは「抑える」ことじゃない。「乗りこなす」という新常識
さて、自分の気持ちが分からなくなってしまう原因が、少し見えてきましたね。
ここからは、その解決策に目を向けていきましょう。
「感情をコントロールできるようになりたい」
そう考えた時、私たちはつい、歯を食いしばって”感情を抑えつけようと”、頑張ってしまいがちです。
でも、それでうまくいった試しは、ありましたか…?
おそらく、頑張れば頑張るほど、かえって心が疲弊してしまったのではないでしょうか。
それもそのはず。
そのやり方は、例えるなら心の中に巨大な“ダム”を築こうとしているようなものだからです。
でも、もう、その苦しい戦いは今日で終わりにしましょう。
苦しい「感情のダム」はもう古い。これからは「感情のサーフィン」の時代へ
感情のエネルギーは、自然に湧き出る水のようなもの。
それを巨大なコンクリートの壁で無理やり堰き止める「感情のダム」には、常にものすごい水圧がかかっています。
感情のダム
感情を壁でせき止める。
高い水圧で消耗し、
爆発か崩壊のどちらかに。
感情のサーフィン
感情の波を読む。
力を利用して進む。
転んでもまた乗り直せる。
ダムを維持し続けるだけで、心のエネルギーはどんどん消耗してしまう。
そして、その先にある結末は、だいたい2つに決まっています。
一つは、水圧に耐えきれず、ある日突然ダムが「決壊」すること。これが、感情の爆発です。
もう一つは、水がじわじわと内側に染み出し、気づかぬうちに足元が崩れていく「地盤沈下」。
これが、無気力や心の不調に繋がります。
…どうでしょう。
あなたが今までうまくいかなかったのは、「努力が足りなかった」からではない。
そもそも、構造的に無理なことに挑戦していただけだった、と思えませんか?
では、どうすればいいのか。
答えは、驚くほどシンプルです。
ダムを壊し、その流れに“サーフボード”で乗るのです。
これからの時代の、新しい感情コントロール。
それは、「感情のサーフィン」という考え方です。
-
波(感情)の力を、消そうとしない。
-
波の動き(感情の波)を読み、そのエネルギーを利用して、軽やかに乗りこなす。
-
時にはバランスを崩して海に落ちる(感情に飲み込まれる)こともある。でも、またボードに乗り直せばいい。
完璧じゃなくていい、という安心感が、伝わるでしょうか。
これからの感情コントロールとは、感情と戦うことではありません。
感情の波に、うまく乗る技術のことなのです。
暴れ馬の力を乗りこなすように、感情のエネルギーを行きたい未来への推進力に変える
この「サーフィン」のイメージを、もう少しだけ、能動的で力強いものへと進化させてみましょう。
感情は、ただやり過ごすだけの波ではありません。
それは、あなたを行きたい未来へと連れて行ってくれる、野生のエネルギーを秘めた“最高のパートナー”にもなり得るのです。
そう、まるで「暴れ馬を乗りこなす名騎手」のように。
名騎手は、馬の力を無理やり抑えつけたりはしません。
馬の持つパワフルな性質を深く理解し、その力を巧みに利用して、目的地へと向かいますよね。
その技術は、実はとてもシンプルな2つの要素でできています。
-
技術① 手入れする(馬の状態を理解し、信頼関係を築く)
-
技術② 方向づける(手綱を握り、行きたい場所へ導く)
これは、私たちの心も全く同じです。
まず、自分の心の状態に日々「気づき」、どんな感情であっても評価せずに「受け入れて」あげる。これが「手入れ」です。
馬の機嫌や体調を、愛情を持って気遣うように。
そして、その感情が持つ莫大なエネルギーを、自分や他人を傷つける暴走に使わせるのではなく、
手綱を引いて「自分の価値観に沿った、建設的な行動」へと導いてあげる。
これが「方向づけ」です。
例えば、「理不尽な上司への怒り」という爆発的なエネルギー。
これを、飲み会での愚痴という、何も生まない「破壊的な発散」に向けるのではなく、
「自分の市場価値を高めるための資格勉強」という「建設的な未来への投資」に向ける。
これが、「乗りこなす」ということです。
…難しく感じるかもしれませんね。
でも、大丈夫。
あなたも必ず、この名騎手になることができます。
次の章から、そのための具体的なトレーニング方法を、一つひとつ、本当に簡単なことから見ていきましょう。
安心して、そのままついてきてくださいね。
【この章のポイント】
感情コントロールとは、ダムのように「抑える」ことではなく、サーフィンのように「乗りこなす」技術のこと。感情というパワフルな馬を「手入れ」し、行きたい未来へ「方向づけ」することで、人生の推進力に変えることができます。
【超入門】まずは今夜から。1分で心が静まる「感情の深呼吸」のやり方
さて、いよいよ感情を乗りこなすための実践編です。
…と、その前に。
どんなに疲れていても、どんなに気分が落ち込んでいても、絶対にできる、たった一つのことから始めてみませんか?
頭で難しく考える必要はありません。
まずはあなたの“体”に、「大丈夫だよ」という安心感を、直接教えてあげましょう。
これは、心の筋トレというより、“心の準備運動”のようなものです。
やり方は、本当に簡単。
椅子に座ったままでも、ベッドに横になったままでも大丈夫。
あなたが一番リラックスできる姿勢で、行ってみてください。
【ステップ1:ゆっくりと“吐ききる”】
まず、吸うことからではなく、「吐く」ことから始めるのが、最大のポイントです。
体の中に溜まった、モヤモヤした空気を、全部外に追い出すイメージで。
口から「ふぅーっ」と、細く、長く。
もうこれ以上は出ない、というところまで、息をゆっくりと吐ききってみましょう。
【ステップ2:自然に“吸い込む”】
体を空っぽにすれば、新鮮な空気が、自然と鼻からすーっと入ってきます。
無理に吸おうとしないでください。
体が勝手に吸い込んでくれる、その心地よい感覚を、ただ味わいます。
【ステップ3:まずは“3回”だけ繰り返す】
この「吐いて、吸う」を、まずは3回だけ、ゆっくりと繰り返します。
時間は、たった1分もかかりません。
はい、これでおしまいです。
…どうでしょう。
少しだけ、心が静かになった感じがしませんか?
なぜ、たったこれだけで心が静まるのか。
それは、あなたの体にもともと備わっている“リラックスのスイッチ(副交感神経)”が、ゆっくりとした呼吸によって、優しくONになるからです。
これは魔法でも何でもなく、あなたの体に元々備わっている、素晴らしい機能なんですよ。
もし、呼吸の途中で他のことを考えてしまっても、全く問題ありません。
「あ、今、考えごとしちゃったな」と気づいて、またそっと呼吸に意識を戻せば、それだけで100点満点。
一番大切なのは、頑張らないこと。
ただ、呼吸している自分を、優しく見守ってあげること。
もしよかったら、今夜眠りにつく前に、お布団の中で一度だけ、試してみてください。
そして、呼吸をしている自分に、心の中で「今日も一日お疲れ様」と、声をかけてあげましょう。
心の準備運動は、これで終わりです。
体が少しほぐれたところで、いよいよ次は、感情を“最強の味方”に変えるための、本格的な3つの習慣を身につけていきましょう。
【この章のポイント】
難しいことを始める前に、まずは1分間の「感情の深呼吸」で心と体をリラックスさせましょう。「吐く」ことから始め、3回繰り返すだけで、リラックスのスイッチがONになります。
【実践編】感情を大切にするとは?驚くほど毎日が楽しくなる3つの新習慣
心の準備運動、お疲れ様でした。
ここからはいよいよ、感情を「乗りこなす」ための、具体的で再現可能な技術を身につけていきましょう。
「気づく」
「受け入れる」
「活かす」
この3つのシンプルな習慣が、あなたの毎日を、驚くほど豊かで楽しいものに変えてくれます。
一つひとつはとても簡単ですが、その効果は絶大です。
さあ、名騎手になるための、本格的なトレーニングを始めましょう。
習慣①【気づく】 脳が落ち着く魔法の言葉「感情のラベリング」で、今の気持ちに名前をつける
感情を乗りこなすための、すべての始まり。
それは、波が来ていることに「気づく」ことです。
津波も、事前にその到来に気づきさえすれば、安全な高台へ避難することができますよね。
心も同じです。
感情の波に気づきさえすれば、私たちはもう、無防備に飲み込まれることはありません。
では、どうすれば気づけるのか。
その方法は、1日に3回、自分の心に「天気予報」を出すことです。
朝、家を出る前。
お昼休憩の時。
夜、ベッドに入った時。
どんなタイミングでも構いません。
アラームをかけるような感覚で、自分の心にこう問いかけてみてください。
「今の私の心は、どんな天気かな?」
そして、ここからが最大のポイント。
その天気に、「名前をつけてあげる」のです。
ただ「なんだかモヤモヤするな…」で終わらせるのではなく、
「ああ、“不安”という名前の分厚い雲が出ているな」
「なるほど、“焦り”という名前の冷たい雨が降ってきたな」
こんな風に、心の中でそっと実況中継してあげるだけ。
これを心理学では「感情のラベリング」と呼びます。
「そんなことで、何が変わるの?」と思われるかもしれませんね。
実はこれ、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の脳科学研究でも証明された、非常にパワフルな方法なんです。
少しだけ、専門的な話をさせてください。
私たちの脳には、危険を察知するとけたたましく警報を鳴らす「扁桃体(へんとうたい)」という部分があります。
感情的になっている時、この扁桃体が過剰に興奮している状態です。
しかし、自分の感情に「不安」「焦り」といった“名前をつける”という、ほんの少し知的な作業をするだけで、脳の冷静な司令塔である「前頭前野(ぜんとうぜんや)」が働き始めます。
すると不思議なことに、
司令官が「大丈夫、これは“不安”という感情だね」と声をかけるだけで、警報係(扁桃体)は「なんだ、そうか」と、すっと落ち着きを取り戻すのです。
感情の正体が分かれば、私たちはもう、それに支配されません。
これが「気づく」という習慣がもたらす、最初の、そして最も大きな変化なのです。
習慣②【受け入れる】 自己嫌悪が消える「ゲストのもてなし方」で、どんな感情とも戦わない
さて、感情の存在に気づけるようになったら、おそらく次なる壁がやってきます。
それは、「こんなネガティブな感情、感じたくない!」という“抵抗”です。
イライラや嫉妬を感じてしまった自分に対して、「なんて心が狭いんだ…」と、自己嫌悪に陥ってしまう。
この“抵抗”と“自己嫌悪”こそが、私たちを最も疲れさせる、本当の元凶でしたね。
この壁を乗り越えるための、たった一つの合言葉。
それは、「戦わない」ということです。
心理療法の一つである「アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)」の知恵を借りて、心に訪れるやっかいな感情を、“招かれざる客”ではなく“大切なゲスト”として扱ってみましょう。
【ゲストのもてなし方 3ステップ】
-
Step1: 歓迎の挨拶をする
心に「怒り」や「悲しみ」というゲストがピンポーンとやって来たら、追い返そうとせず、ドアを開けてこう言ってあげてください。「“怒り”さん、こんにちは。どうぞ、お上がりください」と。 -
Step2: お茶を出して、ただそばにいる
ゲストを無理に問い詰めたり、「早く帰ってくれ」と追い立てたりする必要はありません。ただ、お茶でも出すような気持ちで、その存在を許可します。「胸のあたりがザワザワしますね」「肩が、なんだか重いですね」と、ゲストがもたらす体の感覚に、静かに意識を向けてあげるだけで十分です。 -
Step3: いずれ帰ることを知っておく
どんなゲストも、あなたの家に永遠に滞在することはありません。嵐のようにやってきたとしても、必ず去っていきます。あなたは“ゲストハウスの主(あるじ)”であって、ゲストそのものではない。そのことを、ただ知っておいてください。
…この習慣が身につくと、どうなるか。
あなたはもう、どんな感情が心に訪れても、自分を責めることはありません。
「ああ、今はこのゲストさんが滞在しているんだな」
と、ホテルの支配人のように、穏やかに、そして少し離れた場所から、その様子を見守れるようになります。
これが、自己嫌悪という長年の苦しみから、あなたが解放される瞬間です。
習慣③【活かす】 あなたの本当の願いが見つかる「感情コンパス翻訳術」で、次の一歩を知る
感情の存在に気づき、穏やかに受け入れられるようになったら、いよいよ最後のステップです。
その感情を、あなたの人生を前に進めるための“エネルギー”に変えていきましょう。
実は、すべての感情は、あなたが本当に進むべき道を教えてくれる“心のコンパス”なのです。
ただ、そのコンパスが示す方角は、少しだけ翻訳してあげる必要があります。
これが、「感情コンパス翻訳術」です。
-
「嫉妬」 →「私も、そっちの世界に行きたい!」という、憧れのサイン
-
「悲しみ」 →「それほどまでに、大切だったんだな」という、愛の証
-
「怒り」 →「あなたが大切にしている“正義”や“ルール”が破られている」という、情熱のサイン
-
「不安」 →「失いたくない、大切な何かがある」という、守りたいもののサイン
どうでしょう。
こう考えると、ネガティブな感情も、なんだか頼もしく思えてきませんか?
さあ、この翻訳術を使って、あなたの「次の一歩」を見つけ出すための、簡単なワークをやってみましょう。
感情コンパス翻訳術
感情は「ネガティブ」ではなく、あなたの願いを示すコンパス。
4つの感情の翻訳例はこちら。
憧れのサイン
愛の証
情熱のサイン
守りたいもののサイン
この習慣によって、あなたはもう、感情に振り回されるだけの存在ではなくなります。
感情を手がかりに、
自分軸で未来を選択し、行動できる“人生の主人公”になるのです。
これが、「驚くほど毎日が楽しくなる」ことの、本当の意味。
あなたは、その力を、もうすでに持っているのです。
【この章のポイント】
「気づく(ラベリング)」「受け入れる(ゲストのもてなし)」「活かす(コンパス翻訳術)」という3つの習慣を実践することで、感情は敵ではなく、あなたの人生を豊かにする味方になります。
【応用編】「楽しい」を育てよう。ポジティブな感情を最大化し、幸福度を高める方法
さて、ここまでで、どんな感情ともうまく付き合っていくための、基本的な技術を身につけてきましたね。
心は以前より、ずっと軽くなっているはずです。
ここからは、もう一歩先のステージへ進んでみましょう。
それは、「問題がない状態(ゼロ)」から、
「積極的に幸福を感じられる状態(プラス)」へと、
自分自身を引き上げていくアプローチです。
あなたの日常に、実はたくさん散らばっている「小さな喜び」を見つける達人になるための、具体的で、そして科学的にも証明された方法をご紹介します。
なぜ「嬉しい」はすぐ消える?日常の喜びを味わい尽くす「心の解像度」の高め方
ネガティブな感情とはうまく付き合えるようになってきた。
でも、なんだか毎日に物足りなさを感じる…。
あるいは、嬉しいことや楽しいことがあっても、その感情がすぐに消えてしまう…。
そんな風に感じていませんか?
もしそうなら、それはあなたの心が、“低解像度モード”になっているからかもしれません。
私たちの心は、高性能なデジタルカメラのようなものです。
でも、普段はその設定が「低解像度モード」になっているために、せっかくの美しい景色(=日常の喜び)も、どこかぼんやりと、ピントが合わないまま映し出してしまっているのです。
なぜ、私たちの心は、そんな風に低解像度になりがちなのか。
それは、私たちの脳に、「ネガティビティ・バイアス(否定性偏見)」という、生まれつきの機能が備わっているからです。
【補足】ネガティブな情報に焦点を当てる一方で、私たちは未来を楽観的に捉えるポジティビティ・バイアスも同時に持ち合わせている。
大昔、私たちの祖先が厳しい自然界で生き残るためには、マンモスの足音や毒蛇の気配といった、危険(ネガティブ)な情報に、何よりも敏感である必要がありました。
その名残で、私たちの脳は、放っておくとポジティブな情報よりもネガティブな情報を優先してキャッチするようにできているのです。
だから、嬉しいことや楽しいことがあっても、まるでザルの網の目のように、すぐに心から通り抜けていってしまう。
これは、あなたの心が故障しているわけではなく、そういう「仕様」なのだと、まずは知っておいてください。
でも、大丈夫。
カメラの設定は、自分で変えることができますよね。
それと同じように、私たちは意識的に、“心の解像度”を上げるトレーニングをすることができます。
その結果、今まで見過ごしていた日常のディテールが、驚くほど色鮮やかに、そして豊かに見え始めるのです。
H3眠る前に書くだけ。科学的に証明された「感謝ワーク」が自己肯定感にもたらす効果
心の解像度を上げるための、最も簡単で、そして最も効果的な方法。
それが、「感謝ワーク」です。
これは、ポジティブ心理学の父と呼ばれる、マーティン・セリグマン博士の研究などに基づいた、科学的にも効果が証明されている方法なんですよ。
やり方は、信じられないほどシンプルです。
-
準備するもの ノートとペンだけ。(もちろん、スマホのメモ帳でもOKです)
-
タイミング 1日の終わり、眠りにつく前がベストです。
-
やること 今日あった“良かったこと”や“感謝できること”を、どんなに些細なことでもいいので、3つ書き出す。
…たった、これだけです。
「コンビニの店員さんの笑顔が素敵だった」
「道端に咲いていたタンポポが、綺麗だったな」
「温かいお風呂に入れて、本当に気持ちよかった」
本当に、こんなレベルでいいんです。
むしろ、こんな“当たり前の中にある、小さな幸せ”を見つけることこそが、このワークの神髄だったりします。
では、なぜこれが効くのでしょうか。
このワークを続けると、私たちの脳の中で、面白い変化が起こり始めます。
日中から、脳が勝手に「お、これは今日の感謝リストに書けるぞ」と、“感謝のタネ”を探し始めるのです。
つまり、脳の検索エンジンが、無意識にネガティブな情報を探すモードから、
意識的にポジティブな情報を探すモードへと切り替わっていく。
そして、「私って、こんなにたくさんの“良いこと”を受け取って生きているんだな」という静かな実感は、ゆっくりと、しかし確実に、あなたの自己肯定感を育ててくれます。
無理に感謝しよう、と力む必要はありません。
ただ、良かったことを思い出し、書き留めてみる。
まずは1週間、ゲーム感覚で続けてみませんか?
きっと、あなたの見る世界が、少しずつ変わり始めるはずですから。
【この章のポイント】
私たちの脳はネガティブな情報を優先しがちですが、「感謝ワーク」で心の解像度を上げることで、日常の喜びを見つける達人になれます。眠る前に3つ感謝できることを書くだけで、幸福度と自己肯定感が高まります。
【シーン別】仕事と人間関係の悩みが軽くなる「感情」の乗りこなし術
さて、感情との付き合い方も、日常の喜びを見つける方法も、だいぶ分かってきましたね。
ここからは、いわば「応用問題」です。
これまで学んできた技術を、私たちが日々直面する、リアルで具体的な悩みの場面で、どう使っていけばいいのか。
一緒に、ケーススタディを見ていきましょう。
この記事が、あなたの日常で本当に「使える」お守りになることを、願っています。
Case1 職場で理不尽に叱られて「怒り」が収まらない時
自分は悪くないはずなのに、上司の機嫌ひとつで、みんなの前で理不尽に叱られてしまった…。
ふつふつと湧き上がる怒りで、もう仕事が手につかない。
…本当に、しんどいですよね。
悔しいし、腹立たしい。
この時、私たちはつい、「こんなことで怒るなんて、自分が未熟なんだ」と無理に蓋をしたり、「あの上司が100%悪い!」と、さらに怒りを燃え上がらせたりしてしまいがちです。
でも、それではただ、心が消耗していくだけでしたね。
さあ、学んだ技術を使ってみましょう。
【「理不尽な怒り」の乗りこなしフロー】
-
【気づく】
まずは、トイレの個室でも給湯室でも、一人になれる場所へ。そして、自分の心に宣言します。「うわ、私、今めちゃくちゃ“怒ってる”な」と。心臓がドキドキする感覚、顔がカッと熱くなる感覚も、一緒に感じてあげましょう。 -
【受け入れる】
次に、怒っている自分を、全面的に許可します。「そりゃあ、あんな言い方されたら腹も立つよな。怒って当然だ。よくぞ怒ってくれた」と。自分を責めるのではなく、自分の心を守ろうとしてくれた番人として、その怒りを労ってあげてください。 -
【活かす】
少しだけ冷静になったら、自問します。「この“怒り”というコンパスが指している、私の大切なものは何だろう?」と。
それはきっと、「公正に評価されたい」「一人の人間として、尊重されたい」という、あなたの大切な価値観のはずです。
では、その価値観を守るための「次の一歩」は?
(例:「今日の終業後、信頼できる同僚に客観的な意見を聞いてもらおう」「今回の件を、感情的にならず、事実だけ冷静に記録としてメモしておこう」など)
このように、怒りを「自分を守るエネルギー」に変換することで、あなたはもう、理不尽な出来事の単なる“被害者”ではなくなります。
自分の尊厳を守るための“主体的な行動者”へと、変わることができるのです。
Case2 SNSで友人の活躍を見て「焦り」や「嫉妬」を感じた時
キラキラした友人の結婚報告や、昇進のニュース。
「おめでとう!」と思いたい気持ちはあるのに、なぜか心にチクっとした痛みが走ったり、ザワザワとした焦りを感じてしまう…。
そんな自分が、なんだかすごく嫌になりますよね。
でも、そのザワザワは敵じゃないんです。
【「SNSのモヤモヤ」の乗りこなしフロー】
-
【気づく】
まずは、そのザワザワに名前をつけてあげましょう。たとえそれが、認めたくない感情だとしても。「ああ、これは“嫉妬”なんだな」「“焦り”を感じているんだな」と、勇気を出して認めてみます。 -
【受け入れる】
次に、そんな感情を抱いた自分を、優しくハグするように許可します。「人間だもの、そりゃあ人と比べちゃう時もあるよね。羨ましいって感じて、いいんだよ」と。すぐに「いいね!」が押せなくたって、自分を責める必要は全くありません。 -
【活かす】
ここが、一番の醍醐味です。
嫉妬は、“あなたの理想を知る最高のヒント”です。その視点で、もう一度自分の心を見てみましょう。
「このザワザワが教えてくれる、『私も本当は手に入れたいもの』って、一体何だろう?」
(例:「私も、心から信頼できるパートナーシップが欲しいんだな」「今の仕事で、もっと達成感を味わいたいのかもしれない」)
その「自分の本音」に気づくこと。それこそが、SNSのモヤモヤから得られる、最大の宝物です。
SNSは、他人と自分を比較して落ち込むためのツールではありません。
あなたの“本当の願い”を見つけるための、便利なツールに変わるのです。
Case3 大事な決断を前に「不安」で動けなくなってしまった時
転職、引っ越し、あるいはパートナーとの関係…。
人生の大事な決断を前に、悪いことばかりが頭をよぎり、不安で足がすくんで動けない。
そんな夜を、過ごしたことはありませんか?
【「決断前の不安」の乗りこなしフロー】
-
【気づく&受け入れる】
まずは、不安を“敵”ではなく、“忠実なボディガード”として歓迎してみましょう。「ああ、“不安”さんが来てくれたんだな。こんなに大事な決断の前だから、心配して来てくれて当然だよね。いつもありがとう」と。 -
【活かす①:不安を分解する】
「不安」という大きな塊のままでは、太刀打ちできません。ノートに書き出すなどして、「一体、何が、どうなることが怖いんだろう?」と、具体的な「心配事リスト」に分解してみましょう。漠然としていた不安の正体が、はっきりと見えてくるはずです。 -
【活かす②:視点を捉え直す】
そして、この動けない時間を、「最高の未来を選ぶための、大切な準備時間」と、肯定的に捉え直します。
あなたのボディガード(不安)は、あなたにこう伝えてくれているのです。
「ご主人様、最高の未来のために、もう少し情報収集を!」「万が一のために、プランBも考えておきましょう!」と。
不安は、あなたを止めるための“ブレーキ”ではありません。
安全に、そして確実に目的地にたどり着くための、“最高のナビゲーションシステム”なのです。
その声に耳を澄ませば、あなたは自信を持って、最高の未来へ向かう、次の一歩を踏み出せるようになります。
【この章のポイント】
学んだ3つの習慣は、仕事の「怒り」、SNSでの「嫉妬」、決断前の「不安」など、日常のあらゆる場面で応用できます。感情をヒントに自分の価値観や願いを知ることで、あなたは人生の主体的な行動者になれるのです。
「感情を大切にする」が自然に続くようになる、3つのお守りの言葉
さて、ここまで読んでくださったあなたは、もう感情との付き合い方について、たくさんの知識と技術を手にしています。
でも、一番大切なのは、それを「続ける」こと。
そして、一番難しいのも、また「続ける」ことだったりしますよね。
この記事を読み終えて、「よし、やるぞ!」と意気込んだ気持ちが、
数日後には
「なんだか面倒くさいな…」
「やっぱり自分には無理かも…」
としぼんでしまうかもしれない。
そんな未来のあなたのために。
心が折れそうになった時に、そっと取り出してほしい、3つのお守りの言葉を贈ります。
頑張りすぎなあなたへ「100点満点じゃなくていい」
この記事に書かれていることを、全部完璧にやらなきゃ、と気負っていませんか?
もしそうなら、ほんの少しだけ、肩の力を抜きましょう。
真面目で、とても頑張り屋さんのあなただからこそ、この言葉を一番に贈ります。
私たちが目指すのは、100点満点ではありません。
今日の“1ミリの変化”です。
心の成長は、竹の成長に、少し似ている気がします。
毎日ぐんぐん目に見えて伸びるわけではありません。
むしろ、地面の下で、誰にも見えない根っこを、ゆっくりと、でも確実に伸ばしている時間の方が、ずっと長い。
3つの習慣も、それと同じです。
目に見える劇的な変化がなくても、あなたの心の中では、豊かな土壌が、確実に育っています。
だから、寝る前に「今日は一度だけ、自分の心の天気を気にしてあげられたな」と思えたら。
それだけで、自分自身に、大きな大きな花丸をあげてください。
その“できたこと探し”が、気づけばあなたを、想像もしていなかったような、素敵な場所まで運んでくれるはずです。
三日坊主でも大丈夫「また今日から始めればいい」
「あ…気づいたら、数日間すっかり忘れてしまっていた…」
「やっぱり、自分はダメだ。何をやっても続かない…」
そんな風に、自分を責めてしまいそうになった時。
思い出してください。
三日坊主は、あなたが
「前に進もうと、挑戦した」何よりの証拠です。
何も始めなければ、三日坊主になることすら、できませんから。
私たちの心にも、天気のようにコンディションがあります。
やる気に満ちた、雲一つない晴れの日もあれば、何もしたくない、どしゃぶりの雨の日もある。
そんな時に休むのは、決してサボりなんかじゃありません。
それは、自分を大切にするための“賢明なセルフケア”です。
だから、忘れてしまっても、できなかった日があっても、どうか自分を責めないで。
そして、心の中で、こう唱えてみてください。
「まあ、いっか。また今日から始めればいいや」
この「まあ、いっか」は、自分を優しく許し、軽やかに再挑戦する力をくれる、魔法の言葉です。
一度も転ばない人なんて、どこにもいません。
大切なのは、転んだ回数ではなくて、転んだ後に、昨日より一度でも多く起き上がろうとすること。
私たちはみんな、そうやって、少しずつ歩いていくのです。
あなたの中にいるもう一人の自分へ「一番の味方だよ」
あなたの心の中には、かつて感情に蓋をすることを覚えてしまった、幼い頃のあなたがいるかもしれません。
この記事を読んで、新しい習慣を身につけようと頑張っているのは、“大人のあなた”です。
その急な変化に、“心の中の小さなあなた”は、もしかしたら、まだ少し戸惑っているかもしれませんね。
感情を大切にすることの、究極の目的。
それは、この
“心の中の小さな自分”にとって、今のあなたが「世界で一番の、最高の味方」になってあげること。
そう、私は思っています。
ネガティブな感情を感じたら、それは小さな自分が「怖いよ」「悲しいよ」と、あなたに訴えかけているサインかもしれません。
そんな時は、大人のあなたが、心の中で、そっとその子の頭を撫でてあげてください。
そして、こう声をかけてあげるのです。
「そっか、怖いんだね。大丈夫だよ、私がちゃんとそばにいるからね」と。
たとえ、世界の誰もがあなたを分かってくれなくても。
たった一人、あなただけは、あなたの絶対的な味方でい続ける。
その揺るぎない安心感が手に入った時。
あなたはもう、どんな感情の波が来ても、しなやかに乗りこなすことができるでしょう。
なぜなら、あなたの心の中には、最強のパートナーがいてくれるのですから。
【この章のポイント】
継続のコツは「完璧を目指さない」「三日坊主を許す」「自分の一番の味方になる」こと。この3つのお守りの言葉が、あなたの心の旅を支えてくれます。
もう迷わない。「感情を大切にすること」でよくある5つの質問(Q&A)
ここまで読み進めてくださったあなたなら、もう感情との付き合い方の基本は、ばっちりなはずです。
でも、実際にやってみようとすると、細かい疑問が色々と浮かんできますよね。
ここでは、そんな「あ、これってどうなんだろう?」に、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
Q1. 怒りや悲しみが混ざって、どの感情か分かりません。どうすればいいですか?
素晴らしい質問です。感情がごちゃ混ぜに感じるのは、あなたが自分の心と真剣に向き合い始めた、何よりの証拠ですよ。
そんな時は、無理に一つの名前に特定しようとしなくて大丈夫です。
おすすめは、「嵐」のように、複数の感情が混ざり合ったものとして、そのまま受け入れてあげること。
「そっか、今、私の心の中は“嵐”なんだな」
とラベリングして、その嵐がもたらす体の感覚(胸のザワザワ、喉の奥が詰まる感じなど)を、ただ静かに感じてあげてみてください。
どんなに激しい嵐も、いつかは必ず過ぎ去りますから。
Q2. 他人のネガティブな感情に、すぐ引きずられてしまいます…
共感力が高く、とても優しいあなただからこその、お悩みですね。
それは、あなたと相手との間に“心の境界線”が、少しだけ曖昧になっているサインかもしれません。
そんな時は、相手の話を聞く前に、心の中でそっと
「これは、あなたの感情。これは、私の感情」
と、透明なバリアを張るように、境界線を引くイメージをしてみてください。
そして、相手の感情を、自分が「預かる」のではなく、ただ「見せていただく」というスタンスで接してみる。
あなたは、相手の感情の責任まで、負う必要はないのですから。
Q3. 「楽しい」「嬉しい」というポジティブな感情も、客観的に扱った方がいいの?
素晴らしい視点ですね。
その疑問に気づけたあなたは、もう感情マスターへの道を、着実に歩み始めています。
結論から言うと、
ポジティブな感情は、客観的に分析するよりも、全身で“味わい尽くす”ことを、ぜひ優先してあげてください。
なぜなら、喜びを存分に味わった経験は、心のエネルギーとなり、自己肯定感を育てる、大切な栄養になるからです。
【応用編】でご紹介したように、「ああ、今すごく嬉しい!」とその感覚に浸り、体の隅々まで、その温かい感覚を行き渡らせるイメージを持つと、幸福感がより長く、深く続きますよ。
Q4. 感情を大切にしすぎると、ただのワガママな人だと思われないか不安です。
周りとの調和を大切にする、あなたらしい、とても素敵な不安だと思います。
この記事でお伝えしてきたのは、
「自分の感情に“気づき”、それを“どう行動に移すか”は、自分で選ぶ」
ということでしたね。
感情のままに行動してしまうのが「ワガママ」だとすれば、
感情を自分のコンパスとして、その上で相手のことも尊重した建設的な行動を選ぶのが「賢明な自己主張」です。
この二つは、全く違うものなので、安心してください。
自分の本音を大切にしながら、伝え方を工夫する。
そのバランス感覚こそが、本当の意味での「大人」なのかもしれませんね。
Q.5 色々試しても、どうしても気分が晴れません。どうしたらいいでしょうか?
ここまで、様々な方法を試して、本当によく頑張ってこられましたね。
この記事でご紹介した方法は、あくまで心を整えるための一つのアプローチです。
しかし、心の不調が長く続く場合や、日常生活に支障が出ている場合は、それは“感情の停滞”ではなく“心の骨折”が起きているサインかもしれません。
もし、骨が折れたら、私たちは自分で治そうとせず、お医者さんに行きますよね。
それと全く同じで、心がどうしても辛い時は、勇気を出して専門家の力を借りることは、何よりも賢明で、自分を大切にする行為です。
それは、決して逃げでも負けでもありません。
あなたを助けてくれるプロは、必ずいます。
どうか、一人で抱え込まないでくださいね。
【相談窓口の情報】
もし、誰かに相談したいと感じたら、以下のような公的な相談窓口もあります。
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厚生労働省:まもろうよこころ
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お住まいの都道府県や市町村が設けている、心の健康相談窓口
【この章のポイント】
感情が混ざっても「嵐」と捉えればOK。他人の感情とは「境界線」を意識しましょう。ポジティブな感情は存分に味わい、「感情を大切にすること」と「ワガママ」は違います。どうしても辛い時は、専門家を頼る勇気も大切です。
(まとめ)さあ、あなたの「心の声」を聴くことから始めよう
「自分の気持ちが分からない」と、暗いトンネルの中で途方に暮れていた場所から、私たちは、「感情を乗りこなす」ため方法を見てきました。
もう、あなたは感情を“厄介者”だと思う必要はありません。
感情は、あなたを苦しめるためにあるのではなく、あなたの人生を、あなたらしく豊かに彩るために存在している、“最高のパートナー”なのですから。
この記事に書かれていたことを、すべて覚えていなくても大丈夫です。
ご紹介した習慣を、すべて完璧に実践できなくても、全く問題ありません。
もし、たった一つだけ。
この記事から、何かを持ち帰っていただけるとしたら。
それは、
「自分は、自分の感情を、感じていいんだ」
という、あなた自身への、温かい“許可証”です。
完璧な準備なんて、いりません。
まず、今夜眠りにつく前に。
あなたの心に、こう問いかけることから、始めてみてください。
「今日の私の心は、どんな天気だったかな?」
その優しい問いかけが、あなたの素晴らしい毎日へと続く、確かな、そして力強い最初の一歩になるはずです。
あなたの心の旅路を、心から応援しています。
このブログでは、「感情」のことだけでなく、あなたが自分にとっての「豊かさ」や「幸せ」とは何かを探求していくための、様々な考え方やヒントを発信しています。もし、もう少しだけ探求を続けてみたいと思われたなら、他の記事もぜひ覗いてみてください。きっと、あなたの心をさらに軽くする、新しい発見があるはずです。
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【参考文献・参考サイト】
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Lieberman, M. D., Eisenberger, N. I., Crockett, M. J., Tom, S. M., Pfeifer, J. H., & Way, B. M. (2007). Putting feelings into words: affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological science, 18(5), 421-428.
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Hayes, S. C., Strosahl, K. D., & Wilson, K. G. (2012). Acceptance and commitment therapy: The process and practice of mindful change. Guilford Press.
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Seligman, M. E., Steen, T. A., Park, N., & Peterson, C. (2005). Positive psychology progress: empirical validation of interventions. American psychologist, 60(5), 410.
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厚生労働省「まもろうよこころ」