「生きてるだけで偉い」って、なんだか腑に落ちない！
そのモヤモヤした気持ちは、あなたが自分に正直な証拠。
この記事では、なぜ心がチクッとするのか、その正体を見ていきましょう。
「生きてるだけで偉い」が腑に落ちない。なんでそう思うの？
だって「偉い」は、頑張った時の“特別な言葉”なのに
少しだけ、昔のことを思い出してみませんか。
補助輪が外れて、自分の力だけで自転車に乗れた日。
ドキドキしながらペダルを漕いだ足の感覚と、頬を撫でる風の心地よさ。
転ばずに戻ってきたあなたに、家族がかけてくれた「すごいね、偉いね！」という言葉。
あるいは、夜遅くまで勉強して、テストで良い点を取れた時。
答案用紙の隅に書かれた赤い花丸と、「よく頑張ったね」という先生の温かい声。
その時の、胸がじーんと熱くなるような誇らしい気持ち。
私たちにとって、「偉い」という言葉は、そんな風に何かを一生懸命に頑張って、成し遂げた時にだけもらえる、「特別な勲章」のようなものだったのではないでしょうか。
だからこそ、何もできていないと感じる日に、ただ「生きてるだけで偉い」と言われても、心が戸惑ってしまう。
まるで、白紙の答案用紙に「100点満点だよ」と書かれたような、そんな居心地の悪さを感じてしまうのは、ごく自然なこと。
その「腑に落ちない」という感覚は、あなたがこれまでの一つ一つの頑張りを、心の中で大切にしてきた、何よりの証拠なんですから。
「成果を出さないと価値がない」と感じさせる、社会の空気
それにしても、なぜ私たちはこんなにも「何かを成し遂げなければ」と、自分を追い立ててしまうのでしょう。
ふとSNSを開けば、同世代の誰かが仕事で大きな成果を上げていたり、素敵なパートナーと充実した毎日を送っていたり。
キラキラした写真が、次から次へと流れてきますよね。
友人との会話の中で、自分だけが何も変わっていないような、取り残されてしまったような、言いようのない焦りを感じてしまうこともあるかもしれません。
私たちは、知らず知らずのうちに、
目に見える「成果」や「達成」で人の価値を測りがちな、そんな社会の空気の中にいるのです。
だから、「頑張っていない自分には価値がない」なんて感じてしまう。
その見えないプレッシャーが、あなたの心をすり減らしているのかもしれませんね。
そのモヤモヤは、自分に正直な証拠
「生きてるだけで偉い」という言葉を、何も考えずに「そっか、ありがとう」と受け入れてしまえたら楽なのかもしれません。
でも、あなたはそうしなかった。
「ん…？ 本当にそうなのかな？」
と、心の中でそっと立ち止まった。
その「腑に落ちない」というモヤモヤした気持ちは、決してネガティブなものではありません。
むしろ、それはあなたが自分の心に嘘をつきたくない、という「誠実さの表れ」なのです。
物事の本質をちゃんと見つめようとする、あなただけの「思慮深さの証拠」でもあるんですよ。
だから、どうかその大切な感情を、無理に消そうとしないでください。
「なんだか、しっくりこないな」と感じる、その繊細な心の動きごと、あなた自身なのですから。
その気持ちを、まずはあなたが一番に認めてあげませんか。
いつからだろう？「ただそこにいるだけ」じゃ、ダメになったのは…
【この記事の核心】赤ちゃんだった頃の「無条件の愛」を思い出す
生まれたばかりの、あなたのことを想像してみてください。
ふにゃふにゃで、小さくて、温かい。
できることと言えば、お腹が空いたら泣いて、眠くなったら眠るだけ。
誰かの役に立つことも、何かを生産することも、もちろんできません。
それなのに、周りの大人たちは、その存在をただただ喜び、愛おしそうに見つめていたはずです。
あなたの小さな寝息が、誰かの心を安らげた。
あなたの何気ない笑顔が、誰かの心を温かくした。
あなたがただ、そこに「いる」だけで、周りは幸せに満ちていた。
そこには、何の条件もありませんでした。
「これができたら愛してあげる」なんて、誰も言わなかった。
あなたの存在そのものが、100点満点だったのです。
私たちは皆、そんな「無条件の愛」に包まれて、この世に生を受けました。
何もしなくても価値がある。
ただ、生きているだけで祝福される。
今はもう忘れてしまっているかもしれないけれど、そんな時代が、あなたにも私にも、確かにあったのですよ。
成長と共に増えていく「こうあるべき」という期待の重さ
では、いったい、いつから私たちは「条件付きの評価」を意識するようになったのでしょう。
「寝返りができたね、すごい！」
「言葉を話したね、えらい！」
最初は、純粋な成長への喜びだったはずです。
それが次第に、
「もっと速く走れるように」
「もっと良い成績を取れるように」
という、未来への「期待」に変わっていきます。
もちろん、その期待は、決して悪意から来るものではありません。
親や周りの人々の
「あなたに幸せになってほしい」
「立派になってほしい」
という、愛情の一つの形だったのでしょう。
でも、その愛情が、知らず知らずのうちに「こうあるべき」という見えないプレッシャーの鎧となって、私たちの心を少しずつ重くしていく。
いつしか、その期待に応えなければ「ダメな子」だと思われるのではないか、という不安を抱えるようになるのです。
「ただいるだけ」では、もうダメなんだ。
何かを成し遂げないと、認められないんだ。
そんな風に思うようになって、心の奥底に静かに根を下ろしていったのかもしれませんね。
「頑張ること」が当たり前になった、寂しい現実
そして気づけば私たちは、「頑張っている状態」が普通で、
「何もしない自分」
「休んでいる自分」
に、どこか罪悪感を抱くようになってしまいました。
ぼーっと過ごす時間に焦りを感じたり、体調が悪くて休んでいるのに「時間を無駄にしている」と自分を責めてしまったり。
そんな経験、あなたにもありませんか。
「ただ生きているだけではダメだ」という焦燥感。
「生きてるだけで偉い」という言葉への違和感。
それはきっと、誰もが経験する「無条件の愛に包まれていた時代」と、いつしか始まった「条件付きの評価をされる時代」との間に生まれた、深くて、寂しい“心の溝”から来ているのでしょう。
でも、もしそうだとしたら。
あなたが今感じているその苦しさは「他人からの評価を軸」にしているからかもしれませんね。
「ああ、だから私はこんな風に感じていたんだ」
まずはそう、ご自身の感情のルーツを理解し、頑張ってきた自分をまずは、自分が認めてあげることから始めてみませんか。
「偉い」じゃなくても大丈夫。心が軽くなる、3つの考え方
考え方①「偉い」を「今日も一日、おつかれさま」に着せ替えてみる
もし、「偉い」という言葉が、少し窮屈に感じてしまったら。
もっと心地のいい、柔らかな言葉に替えてみるのはどうでしょうか。
その言葉が、「おつかれさま」です。
この言葉には、「評価」の響きがありません。
良いとか悪いとか、できたとかできなかったとか、そんな物差しはどこにもない。
ただ、今日という一日を懸命に生き抜いたことへの、温かい労い（ねぎらい）だけが、そこにあります。
朝、眠い目をこすってベッドから出た自分に、「よく起きたね、おつかれさま」。
満員電車に揺られて、なんとか職場に着いた自分に、「毎日えらいね、おつかれさま」。
誰かの一言に心が傷ついた日には、「よく耐えたね、おつかれさま」。
そして、何もできなかったと感じる日でも。
ただ、静かに息をして、心臓を動かしていた自分自身に、「今日も生きててくれて、おつかれさま」。
自分にかける言葉を、ほんの少し変えてみるだけ。
それだけで、評価の呪縛からふっと解放されて、ありのままの自分を優しく受け入れる、はじめの一歩になるはずですよ。
考え方②成果の物差しをそっと横に置いて、ただ「感じる」時間を作る
私たちは毎日、知らず知らずのうちに「できたことリスト」を頭の中に作って、自分自身を採点してしまいがちですよね。
「今日はあれもこれもできた、合格」
「今日は何も進まなかった、不合格」
そんな風に。
だからこそ、意識して、その「何を成し遂げたか（Do）」という物差しを、一旦そっとテーブルの横に置いてみませんか。
そして代わりに、「何を感じたか（Feel）」という、ご自身の心の声に、ただ耳を澄ませてみるのです。
例えば、帰り道に見上げた空。
「今日の月は、なんだか優しい色をしているな」
コンビニで買った、温かいお茶。
「この一口が、冷えた身体にじんわり染みるな…」
ふと聴こえてきた、懐かしい音楽。
「この曲を聴くと、あの頃を思い出して、なんか切ないな…」
それは、誰かに褒められることでも、お金になることでもないかもしれません。
でも、そんな風に自分の「感じたこと」を一つひとつ丁寧に拾い集めてあげる時間は、成果や効率とは全く別の次元で、あなたの人生を豊かにしてくれる、とても贅沢なひととき。
自分自身と、ゆっくり仲直りするための、大切な時間になるはずです。
考え方③「腑に落ちない」という自分の心を、一番の味方にしてあげる
ここまで一緒に考えてきた、「腑に落ちない」という、あなたのその大切な感情。
それは決して、面倒な厄介者なんかではありません。
むしろ、
「本当にそれでいいの？」
「あなたの心は、今どう感じてる？」
と、立ち止まって問いかけてくれる、あなたの中にいる、最も誠実な声なのです。
あなたのことを誰よりも想ってくれている、一番の味方だと言えるのかもしれません。
だから、無理に納得しようとしなくていい。
分かったふりをして、笑顔でやり過ごさなくてもいいんです。
「そっか、今あなたは、そう感じているんだね」
「しっくりこないんだね、分かったよ」
そうやって、どんな感情も否定せず、ただ静かに寄り添ってあげる。
親友の話を聞く時のように、ただ、うんうんと頷いてあげる。
自分の感情を、自分でちゃんと認めてあげること。
尊重してあげること。
それが、他人の評価や周りの声に揺らがない、本当の意味での「あなただけの軸」を、しなやかに育てていくことに繋がるのですから。
結局、一番大切なのは「あなたがどう思うか」ということ
「生きてるだけで偉い」は、心の天気で変わるもの
もうお分かりかもしれませんね。
「生きてるだけで偉い」という言葉は、絶対的な「正解」や「真理」ではないのです。
心がよく晴れて、元気な日には、「本当にそうだよね」と素直に受け取れるかもしれない。
でも、冷たい雨が降る、心がしんと冷えた日には、「そんな綺麗事、聞きたくないよ」と感じてしまうかもしれない。
それで、いいんです。
この言葉は、まるで“おまもり”のようなもの。
心の天気によって、温かく感じたり、少し重たく感じたり。
感じ方が変わるのは、ごく自然なこと。
だから、この言葉を無理に信じようとしたり、躍起になって反発したりする必要なんて、どこにもありません。
「今日はそう思えないな」と感じたら、それでいい。
言葉は、あなたを縛るための鎖ではありません。
あなたが自由に使い、時には心の引き出しにそっとしまっておく、あなただけの、ささやかな“おまもり”なんです。
あなたの価値は、誰にも決めさせない
そして、何よりも忘れないでいてほしいこと。
それは、あなたの価値は、誰かの評価や社会の物差し、あるいは「生きてるだけで偉い」という
たった一つの言葉によって決まるものではない、ということです。
あなたの価値は、あなたがこれまで歩んできた、一つひとつの足跡の中にあります。
あなたが感じてきた、数えきれないほどの喜びや、言葉にならないほどの痛みの中にあります。
そして、今この瞬間も、あなたの胸の中で静かに鼓動を続けている、その温かい命の中に、確かに宿っているのです。
もちろん、他人の声に耳を傾けることは、とても大切なこと。
でも、最終的にあなたの心の真ん中に、王様みたいにどっしりと座らせてあげるべきなのは、他人の声ではありません。
あなた自身の、声です。
その心の主導権を、もう誰にも明け渡さなくて大丈夫。
あなたの世界の主人公は、他の誰でもない、あなた自身なのですから。
一番信じてあげたい、あなたの「しっくりくる」という感覚
この記事を通して、私があなたに一番伝えたかったこと。
それは、たった一つです。
「あなたが、あなた自身の感覚を、何よりも信じてあげてほしい」ということ。
「腑に落ちない」
「なんだか、こっちじゃない気がする」
「理由はうまく言えないけど、こっちの方が心地いいな」
そんな、論理では説明できないかもしれないけれど、確かにあなたの心の中にある、その「しっくりくる」という感覚。
それこそが、あなたがこれから進むべき道を、優しく照らしてくれる、最も信頼できるものです。
答えは、あなたの外側にはありません。
有名な誰かが言った言葉の中にも、たくさんの人が「いいね」を押した投稿の中にも、ありません。
答えは、いつも、あなたの心の中に。
その静かで、でも確かな声に耳を澄ませてあげること。
それが、あなた自身を、世界で一番大切にしてあげるということなのだと、私はそう信じています。
まとめ
「生きてるだけで偉い」
その優しい言葉に、心がチクッとしてしまうのは、あなたが真面目だから。
そしてその違和感の奥には、ただ存在するだけで愛されていた「赤ちゃんだった頃」と、いつしか成果や役割を求められるようになった「今」との、少しだけ寂しいギャップが隠れていたこと。
でも、「偉い」という言葉に頼らなくても、
-
自分自身に「おつかれさま」と優しく声をかけてみること
-
「できたこと」より「感じたこと」を大切にしてみること
-
「腑に落ちない」という自分の心を、一番の味方にしてあげること
そんな、心を軽くする優しい考え方だってあります。
何かを大きく変えようとしなくて大丈夫です。
今のあなたのままで、そのままで、本当に十分なのですから。
「成果」への言葉ではなく、
ただ、そこに「在ること」への、純粋な感謝の言葉を大切にしてください。
答えを急がなくてもいいんです。
腑に落ちないままでも、いいんです。
あなたのペースで、あなただけの「しっくりくる」を、これからも大切に、大切に、育てていってくださいね。
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