SNSで見る「丁寧な暮らし」に憧れるけど、現実とのギャップに、なんだか少し疲れていませんか?
この記事を読めば、お金や時間をかけなくても、あなたの毎日が“ごきげん”な瞬間に満たされ始めます。
ここでは、“やること”を増やすのではなく、日常を“味わう”ための、1日5分から始められる具体的な習慣と考え方のコツだけをご紹介しますね。
かつて同じように悩んだ私自身が、実際に気持ちが楽になった方法だけを、ぎゅっと詰め込みました。
さあ、あなたも完璧じゃなくていい“ごきげんな自分”を見つけにいきませんか。
【深層心理】丁寧な暮らしが続かない本当の理由。
「よし、やるぞ!」と決意したはずなのに、気づけば三日坊主…。
そんな経験を繰り返すたびに、「やっぱり私は意志が弱いんだな」なんて、自分を責めてしまっていませんか?
もし、そうだとしたら。
今日から、その必要はもう全くない、ということを知ってほしいのです。
あなたがこれまで続けられなかったのは、決してあなたのせいではありません。
そこには、人間なら誰でも持っている、とても自然な心の仕組みが関係していただけだったんですよ。
原因① 情報が多すぎる「思考のフリーズ状態」
今の時代、素敵な暮らしのアイデアは、SNSや雑誌を開けば無限に見つかりますよね。
でも、不思議なことに、情報を見れば見るほど、
「じゃあ、何から始めよう?」
と、かえって動けなくなってしまいませんか。
実はこれ、ごく自然な脳の反応なんです。
心理学者のバリー・シュワルツが著書『なぜ選ぶたびに後悔するのか』で提唱した「選択のパラドックス」と呼んだように、選択肢が多すぎると、私たちの脳は処理能力の限界を超え、思考をストップさせてしまいます。
あなたが動けなかったのは、意志が弱かったからではありません。
むしろ、丁寧な暮らしのための情報収集という“見えないタスク”に、無意識のうちに心を使い果たし、思考がフリーズしてしまっていただけだったのですね。
皮肉なことに、「丁寧」を求めて集めた情報が、あなたの心を「乱雑」な状態にしていたのかもしれません。
原因②「ちゃんとやらなきゃ」が引き起こす「完璧主義という名の燃え尽き」
「やるからには、きちんとやりたい」
そう思うのは、あなたがとても真面目で、誠実な証拠。
でも、その「ちゃんとやらなきゃ」という気持ちが、時として、始める前からあなたを疲れさせてしまうことがあります。
認知行動療法では、このような「0か100か」でしか考えられない思考のクセが、行動を始める上での大きな壁になることが知られています。
「中途半端になるくらいなら、やらない方がマシだ」
そう感じてしまう気持ちの奥には、実は
「失敗して傷つきたくないな」
「できない自分を認めたくないな」
という、自分を守るための、とても繊細な心が隠れているのかもしれません。
完璧主義は、あなたを攻撃する敵ではなくて。
これまで、あなたが傷つかないように、ずっと守ってきてくれた“重たい鎧”のようなものだったんですね。
ただ、その鎧、少し重たくなってきませんでしたか?
全部脱ぎ捨てなくてもいい。
ほんの少しだけ、緩めてみる。
それだけで、驚くほど気持ちが楽になりますよ。
原因③ 他人を優先しすぎた結果の「心のエネルギー切れ」
お仕事のこと、ご家族のこと、周りの人とのこと…。
あなたは毎日、たくさんの役割をこなして、自分のことはいつも後回し。
自分のための時間は、一日の“残り物”になっていませんか?
私たちの心のエネルギーを、スマートフォンのバッテリーに例えてみましょう。
私たちの心のエネルギーは、脳科学でいう『ウィルパワー』や『認知資源』という概念に近いものです。
朝100%で出発しても、日々の決断やタスクで少しずつ消費されていくため、夜には充電が切れてしまうのは当たり前のことですよね。
「あー、めんどくさいな」
「なんだか、何もやる気が起きないな」
そう感じてしまうのは、あなたの心が発している
「エネルギーが空っぽですよー!」
という、健全なSOSサインなんです。
気合や根性の問題ではなくて、これはもう、単純な“ガス欠”状態なんですね。
そして、ここがとても大切なポイントなのですが…。
多くの人が「丁寧な暮らし」を、さらにエネルギーを“消費する”タスクだと思っていますが、実は全くの逆です。
これからお伝えする方法は、あなたの心のバッテリーを、ゆっくりと、でも確実に
“充電する”ための時間なのですから。
【この章のポイント】
続けられないのはあなたのせいではなく、情報が多すぎる「選択のパラドックス」や「完璧主義」といった、自然な心の仕組みが原因。
「めんどくさい」と感じるのは、心が発するエネルギー切れのサインであり、決して怠けているわけではありません。
本当の「丁寧な暮らし」とは、エネルギーを消費するタスクではなく、心を「充電する」ための時間。
【超入門】ズボラでもOK!1日5分から始める「自分をごきげんにする」丁寧な暮らしの始め方
さて、ここからは、いよいよ具体的なお話です。
「でも、やっぱり面倒なのはちょっと…」
と感じているあなたにこそ、試してみてほしい方法を集めました。
ポイントは、「新しい時間を無理に作ろうとしない」こと。
そして、「完璧を目指さない」こと。
これはタスクではありません。
あなたが
「あ、これなら気持ちいいかも」
「楽しいかも」
と感じられるかどうかを試す、ささやかな実験のようなものです。
もし、ピンとくるものが一つでもあったら、儲けもの。
そんな軽い気持ちで、眺めてみてくださいね。
【朝の5分編】時間に追われる“作業”が、穏やかな“儀式”に変わる習慣リスト
朝は戦場。
バタバタと過ぎていく慌ただしい時間を、心を整える穏やかな「儀式」に変えるための、小さなスイッチをご紹介します。
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① 朝日を浴びて、3回深呼吸する
いつものようにカーテンを開けたら、窓も少しだけ開けてみてください。そして、外の空気を「すーっ」と胸いっぱいに吸い込んで、「ふーっ」とゆっくり吐き出す。これを3回繰り返すだけ。眠っていた身体に「今日も一日が始まるよ」と、優しく教えてあげるような感覚です。60秒以内でできるのでぜひおすすめです。 -
② ベッドを軽く整える
ホテルのように、シワひとつなく整える必要は全くありません。掛け布団をバサっと広げて、枕の位置を直す。スタンフォード大学のBJ・フォッグ氏が言うように、このごく小さな成功体験(タイニー・ハビット)が、一日の始まりに「ひとつ、完了できた」という静かな自信をくれます。 -
③ お気に入りのコップで白湯を飲む
どんなに高価なものでなくても構いません。あなたが「この色、好きだな」「この形、手に馴染むな」と感じるコップを選んで、一杯の白湯か水を、ゆっくりと飲んでみてください。自分のために、丁寧に一杯を注ぐ。そのひと手間が、「自分をもてなす」ことの第一歩になります。
【昼の5分編】忙しい合間に自分を取り戻す、心のリセットボタン
午後に向けて、少しずつ集中力が切れてくる時間。
パソコンを再起動するように、ごちゃごちゃになった思考をリセットできる、小さな習慣です。
① スマホを見ずに、ランチの最初の一口を“味わう”
デスクでのランチでも大丈夫。スマホをそっと裏返して、最初の一口だけでも、しっかりと「味わう」ことに意識を向けてみてください。
情報を詰め込むのをやめて、五感を使うことが、疲れた脳を休ませる一番の近道です。
これは「マインドフル・イーティング」という、立派な心のトレーニングなんですよ。
マインドフルネスの食事版みたいなものです。
② イヤホンを外し、窓の外の音に耳を澄ます
私たちは、普段いかに「見る」ことに頼っているか、気づくかもしれません。
ほんの少しだけイヤホンを外して、聞こえてくる音に耳を澄ましてみる。
鳥の声、風の音、遠くで聞こえるサイレンの音。
意識しなければ消えてしまう世界の解像度を、少しだけ上げてみる時間です。
③ お気に入りの香りをそっと嗅ぐ
ハンドクリームでも、ハンカチに垂らしたアロマオイルでも。
お気に入りの香りをそっと嗅いで、深呼吸してみてください。
香りは、脳にダイレクトに働きかけて、気分を切り替えるスイッチになってくれますからね。
一瞬で、いる場所の空気を変えてくれる、小さなお守りのようなものですね。
【夜の5分編】今日の疲れを明日に持ち越さない、自分を労わる締めくくりの習慣
「今日も一日、よく頑張った…」
そんな一日の終わりに、心に溜まった“今日の澱(おり)”を洗い流し、穏やかな気持ちで眠りにつくための、
自分への「お疲れ様」の習慣です。
① 玄関の靴を揃える
家の顔である玄関を整えることは、不思議と自分の心を整えることにも繋がっています。
散らかった靴を揃えるだけで、「今日も無事に帰ってこられたな」という安心感に包まれる。
そして何より、翌朝、気持ちよく「いってきます!」と家を出るための、未来の自分へのプレゼントになります。
② 今日あった“良かったこと”を1つだけ手帳に書く
どんなに些細なことでも構いません。
「ランチが美味しかった」
「夕焼けが綺麗だった」。
ポジティブ心理学の研究では、眠る前にポジティブな出来事を思い出すことが、幸福度を高めると言われています。
大変な一日だったとしても、最後に幸せな記憶で上書き保存して、一日を締めくくるイメージです。
③ カバンの中身を全部出す
これは、今日のタスクや役割を、一旦すべて手放すための儀式のようなもの。
不要なレシートやゴミは、今日のストレスと一緒にさようなら~。ぽいっ!
空っぽになったカバンを見ることで、心にも余白が生まれる。
そうやって、まっさらな気持ちで、明日を迎える準備をするのです。
【番外編】捨てない、買わない。「今あるモノ」がもっと愛おしくなる5分習慣
「丁寧な暮らし」と聞くと、ついお洒落なモノを新しく揃えなきゃ、と思ってしまいがちですが、そんなことはありません。
本当の豊かさは、今あなたの手元にあるモノとの関係を、もう一度“育て直す”ことから始まります。
① いつも使っているマグカップを、感謝して丁寧に洗う
ただの汚れ落とし、と思わずに。
「今日も一日、潤いをありがとう」
と伝えるような気持ちで、スポンジを動かしてみてください。
キュッ、という綺麗な音は、あなたの心も磨いてくれるようです。
② くたびれた靴を、5分だけ無心で磨く
あなたを色々な場所に連れて行ってくれた、健気な相棒。
感謝を込めて、無心でクリームを塗り込んでみてください。
輝きを取り戻していく様子は、まるで自分の心が元気になっていくようで、不思議と自己肯定感も湧いてきます。
③ いつも着ているセーターの毛玉を、3つだけ取る
全部やろう、と思わないのが何よりのコツです。
「今日はこの3つだけ」と決めて、優しく取ってあげる。
モノに丁寧に手をかける時間は、巡り巡って、自分の心に丁寧に手をかける時間にもなるのです。
【この章のポイント】
丁寧な暮らしの第一歩は、新しい時間を無理に作らず、いつもの行動に「意識を向ける」ことから始めます。
完璧を目指さず、「気持ちいいかも」と感じるものを、一日5分のお試し感覚で取り入れてみてください。
新しいモノを買うのではなく、今あるモノに感謝を込めて手をかけることが、自分自身を大切にすることに繋がります。
【私の体験談】“ただの家事”が“心を整える瞑想”に変わった、私のささやかな実践例
ここまで、具体的な習慣をいくつかご紹介してきましたが、
「本当に、そんなことで何かが変わるの?」
と感じている方も、いらっしゃるかもしれませんね。
ええ、よく分かります。
ここでは少しだけ、いつもの“ただの家事”が、いつの間にか“心を整える大切な時間”に変わっていった、ささやかな経験をお話しさせてください。
実践例① お味噌汁作り 出汁の香りを“味わう”ことで、思考のスイッチを切り替える
以前の私にとって、毎日の食事作りは、時間に追われるただの“作業”でした。
「今日の献立、どうしよう…」
「ああ、早く作ってしまわないと…」
キッチンに立つ時間は、いつもそんな焦りでいっぱい。
楽しむ余裕など皆無!
でもある日、ふと
「試しに、お味噌汁だけは出汁からとってみようかな」
と思い立ったんです。
完璧を目指したわけではなく、ほんの気まぐれ。
昆布を水につけて、火にかける。
沸騰する直前に取り出して、鰹節をふわっと入れる。
部屋いっぱいに広がる、豊かで力強い香り…。
その香りに集中している間、不思議なことに、頭の中をぐるぐる駆け巡っていた“今日の心配事”や“明日のタスク”が、すーっと消えていたことに気づいたんです。
黄金色に染まっていく澄んだ出汁の色。
トントン、トントン…と野菜を切るリズミカルな音。
この経験は、マインドフルネスが
「今、この瞬間に集中することで、心の雑念から解放される」
という効果を持つことを、私自身の身体で理解させてくれました。
これはもう、特別な場所に行かなくてもできる、キッチンでの「動く瞑想」のようなものだな、と感じています。
もちろん、毎日できるわけではありません。
忙しい日は、顆粒出汁の力もたくさん借ります。(顆粒出汁バンザイ!)
でも、
「あ、今日は少し心がザワザワするな」
と感じた日は、自分を整えるための儀式として、出汁をとる時間を作るようになりました。
時短や効率がもてはやされる世の中ですが、その“無駄”に思える時間が、実は心の“余白”を取り戻すために、何よりも必要な時間だった。
私にとって、お味噌汁作りは、そんな大切なことを教えてくれたんです。
実践例② コーヒーの時間 豆を挽く音と香りに集中し、心の余白を取り戻す
朝の一杯のコーヒー。
それはもう長年の習慣でしたが、以前は、眠い頭を無理やり起こすための“燃料”を流し込んでいる、という感覚でした。
味わうなんてことは、ほとんど意識していなかったと思います。
きっかけは、手動のコーヒーミルでした。
正直なところ、最初は「うわ、めんどくさそうだな…」と思ったのを覚えています。
でも、一度試してみて、驚きました。
自分の手でハンドルを回すと、ゴリ、ゴリ…という心地よい振動と音が、静かな朝の部屋に響く。
挽いた瞬間に、こうばしい香りがふわーっと立ち上る。
お湯を注いだ時に、ハンバーグのようにふっくらと膨らむコーヒーの粉を、ただ、じっと眺める。
この5分間だけは、仕事のことも、家のことも、完全に忘れて、“自分のためだけの時間”に没頭できる。
それは、一日の始まりに「よし、今日も大丈夫」と思える、自分を取り戻すための大切な“スイッチ”になりました。
大切なのは、結果ばかりを追い求めるのではなく、そこに至るまでの「プロセス」にこそ、心の豊かさの源泉があるということ。
コーヒーの時間は、そんな当たり前のようで、つい忘れてしまいがちなことを、毎朝思い出させてくれるんです。
【この章のポイント】
家事などの日常的な“作業”は、五感を集中させることで、心を整える“瞑想”の時間に変わりうります。
一見「非効率」に見える時間が、実は心の「余白」を取り戻すために非常に重要です。
結果だけでなく、そこに至るまでの「プロセス」を楽しむことが、日常を豊かにする秘訣です。
【ステップアップ編】もうイライラしない。家族と「心地いい暮らし」を育む3つのヒント
自分の「心地いい」が見つかってくると、不思議なもので、今度は周りの人の行動が少しずつ気になり始めてしまうことがあります。
「なんで、いつも出しっぱなしなの!」
「もう少し、丁寧に扱ってくれたらいいのに…」
よかれと思って伝えたはずが、かえって家の空気をギスギスさせてしまった…。
そんな経験、あなたにもありませんか?
自分も相手も大切にしながら、家全体を「心地いい空間」にしていくための、ささやかだけれど、とても効果的なヒントを3つ、ご紹介します。
ヒント①変えようとしない。あなたの「ごきげんな空気」は自然と伝染します
いきなりがっかりさせてしまったら、ごめんなさい。
でも、人間関係における最も大切な原則は、
「私たちは、他人を変えることはできない」ということです。
これは、アドラー心理学における「課題の分離」という考え方にも通じます。
相手の行動や感情は、あくまで相手の課題。
私たちがそれを無理やりコントロールしようとすることは、壁に向かって必死にボールを投げ続けるようなもので、いつか疲れて、自分がつらくなってしまうだけなんですね。
では、どうすればいいのか。
答えはとてもシンプルで、
コントロールできる唯一のこと、つまり「自分の機嫌」に集中する、
ということです。
人の機嫌は、まるでWi-Fiの電波のように、その場の空間に広がる性質があると言われています。
心理学では「情動伝染」なんて呼ばれたりもします。
あなたが穏やかで、ごきげんで、心地よさそうにしていること。
それが、気づかぬうちに家族の心を最も穏やかにする、最強の方法なんです。
イソップ童話の「北風と太陽」のように。
厳しい北風ではなく、ただそこにいて温かく照らす太陽のような存在。
まずは、あなたがあなた自身の「太陽」になってあげること。
それが、一番の近道なのかもしれません。
ヒント②「手伝って」はNGワード?相手を巻き込む魔法の言葉かけ
誰かに何かをお願いする時、つい「〇〇、手伝って」と言ってしまいませんか?
便利な言葉ですが、実はこの言葉の裏には、
「これは本来私の仕事なのに、あなたはやっていない」
という、無言の非難のニュアンスが含まれてしまうことがあります。
そこで、提案したいのが、
「行動」を要求するのではなく、「感覚」を共有する
というコミュニケーションです。
いつもの言葉(Before) | 魔法の言葉かけ(After) |
(イライラしながら)「靴くらい揃えてよ!」 | (靴を揃えながら)「あー、玄関がスッキリしてると、やっぱり気持ちいいねぇ」 |
「料理、手伝って!」 | 「このお出汁の香り、すごく良くない?ちょっと嗅いでみて!」 |
「部屋、散らかさないで!」 | 「このお花、綺麗に飾れたから見て見て。部屋が明るくなるね」 |
人は、誰かに命令されると反発したくなりますが(心理的リアクタンス)、心地よい感覚や楽しい体験には、自然と興味を惹かれる生き物です。
相手を“無給の労働力”として見るのではなく、
“心地よさを一緒に味わう仲間”として、軽やかに巻き込んでいく。
そんなイメージを持つだけで、あなたの言葉は、不思議と温かいものに変わっていくはずですよ。
ヒント③相手の中にある「丁寧さ」を見つけて褒める、関係性が変わる秘訣
私たちはつい、相手の“できていないこと”ばかりに目がいってしまいがちです。
今日から、その探し物ゲームをやめてみませんか?
その代わりに、
相手の中に既に存在している“小さな丁寧さ”を見つけて、言葉にして伝えるゲームを始めてみるのです。
それは、本当に些細なことで構いません。
-
飲み終わった缶を、きちんと洗ってくれている。
-
テレビのリモコンの向きが、いつも綺麗に揃えられている。
-
買ってきた卵を、割れないようにそっと冷蔵庫に入れてくれている。
見つけたら、すかさず伝えます。
その時のコツは、「あなた」を主語にするのではなく、「私」を主語にして伝えること(アイメッセージ)です。
「(You)あなたは丁寧だね」と言うよりも、
「(I)あなたが丁寧に畳んでくれたタオル、使う時すごく気持ちいい。ありがとう」
と伝える。
そうすることで、相手は素直にその言葉を受け取りやすくなります。
人は、自分が認められた側面を、もっと伸ばそうとする性質があります(ピグマリオン効果)。
あなたが相手の“丁寧さ”という素敵な側面に光を当て続けることで、相手は無意識のうちに、ますます丁寧な行動をとりたくなっていく。
これは、相手をコントロールするのではなく、相手の素晴らしい部分を信頼して引き出す、とても温かい方法なんです。
【この章のポイント】
他人を変えようとせず、まずは自分の「ごきげん」に集中しましょう。その穏やかな空気は自然と周りに伝わります。
「手伝って」と行動を要求するのではなく、「気持ちいいね」と感覚を共有することで、相手をポジティブに巻き込めます。
相手の「できていないこと」ではなく「既にある小さな丁寧さ」を見つけて、「私」を主語にして伝えましょう。
【未来予想図】続けるとどうなる?小さな習慣がもたらす、人生の5つの嬉しい変化
ここまでお伝えしてきた、一日たった5分の小さな習慣。
それはまるで、静かな水面に、ぽちゃんと一滴のしずくを落とすようなものかもしれません。
でも、その一滴が作る波紋は、あなたが思っている以上に、広く、そして遠くまで、ゆっくりと確実に広がっていきます。
ここでは、その小さな習慣を続けた先に、あなたの人生に訪れるかもしれない、嬉しい変化の未来予想図を、少しだけお見せしますね。
変化①自分軸ができる|他人の価値観に振り回されず、決断が速くなる
「SNSで話題だから」
「みんなが良いって言うから」
そんな“他人”の物差しで何かを選んで、
後から「本当にこれで良かったのかな…」とモヤモヤしてしまう。
そんな経験、ありませんか。
日々の小さな習慣は、「自分の感覚を信じて、選択する」という練習の繰り返しです。
どのカップが好きか、どの香りが心地よいか。
その小さな練習が、無意識のうちに「心の声を聞く訓練」になり、あなたの「決断筋」を鍛えてくれます。
その結果、洋服選びや休日の過ごし方、時にはキャリアの選択といった大きな決断の場面でも、
「世間の正解」ではなく「自分の心地よさ」を心の指針に、迷いなくスッと選べるようになっていきます。
自分のことが分かると、決断が速くなる。
決断が速くなると、時間に余裕が生まれる。
時間に余裕が生まれると、さらに心が穏やかになる。
そんな、素晴らしい好循環が始まっていくのです。
変化②お金が貯まる 満されているから、無駄なモノが欲しくなくなる
ストレスが溜まると、ついネットショッピングで衝動買い…。
「自分へのご褒美」
と言い訳しながら、心の隙間をモノで埋めようとしてしまうのは、しんどいですよね。
1日5分の習慣は、お金をかけずに自分を「ごきげん」にする方法を、あなたに教えてくれます。
つまり、「自分で自分を満たすスキル」が、自然と身についていくんですね。
自分の心のコップを、自分で満たせるようになると、これまでストレス解消のために使っていたお金が、不思議と必要なくなっていきます。
モノを買う基準も、
「価格や流行」
から
「本当に自分の心を豊かにしてくれるか、長く大切にできるか」
という、より本質的な視点に変わります。
結果として、モノの数は減るのに、満足度は上がり、気づけばお金に余裕が生まれている。
そんな、理想的な状態が、無理なく手に入るかもしれません。
変化③ SNSに疲れない 自分だけの「心地よさ」が見つかり、他人と比べなくなる
キラキラした投稿を見て、自分の生活が急に色褪せて見えたり、焦りや嫉妬で心がザワザワしたり…。
SNSは、私たちの心をすり減らす、少し厄介な側面も持っています。
日々の習慣を通して、あなたは「自分だけの心地よさの基準」を、頭ではなく、身体で覚えていきます。
それは、誰とも比べる必要のない、あなただけのオーダーメイドの幸せの物差しです。
その「いつでも帰ってこられる“心のホーム”」のような物差しができると、SNSとの付き合い方が、劇的に変わります。
他人の投稿は、「素敵な映画を観る」ような感覚で、純粋に楽しめるようになる。
自分の世界と他人の世界を、健全に切り離せるようになるからです。
「いいね」の数に一喜一憂することもなくなり、SNSを、心を消耗させるものではなく、人生を豊かにするツールとして、賢く、そして平和に使えるようになっていくのです。
変化④ 人間関係が楽になる 自分を大切にできると、他人にも優しくなれる
「どうして、あの人はいつもこうなんだろう」
他人の些細な言動に、ついイライラしてしまう。
そんなことはありませんか。
そのイライラの根っこには、もしかしたら
「私の心のコップを満たしてほしい」
という、満たされない思いが隠れているのかもしれません。
自分の心のコップを、自分で満たせるようになると、他人に「私を満たして!」と過剰に期待することがなくなります。
そして、コップから穏やかに溢れた優しさの分だけを、無理なく自然に、周りの人におすそ分けできるようになるのです。
相手に完璧を求めなくなり、小さな欠点も「まあ、いっか」と許せるようになる。
相手の価値観を尊重し、穏やかに話を聞けるようになる。
自分を大切にする練習は、そのまま、他人を大切にするための、最高のリハーサルになるんですね。
変化⑤ 自己肯定感が育つ「できなくてもOK」と思えるようになり、毎日が穏やかになる
何か失敗するたびに、「なんて自分はダメなんだろう」と、深く落ち込んでしまう。
完璧にできない自分を、なかなか許すことができない。
もし、あなたがそんな苦しさを抱えているとしたら。
この小さな習慣は、ゆっくりと、でも確実に、あなたの心を温かい場所へと導いてくれます。
毎日の小さな成功体験を積み重ね、自分軸で物事を選び、自分で自分を満たせるようになる。
そして何より、「できない日があってもいいんだよ」と、自分を許す練習を繰り返すことで、
「完璧ではない、ありのままの自分」を、少しずつ受け入れられるようになっていきます。
特別な出来事がなくても、何気ない日常の中に、小さな喜びや幸せを見つけられるようになる。
朝、目が覚めて「今日も一日が始まる」と思えることが、ただ、ありがたいと感じられる。
毎日が、少しずつ、そして確かに“愛おしい”ものに変わっていく。
それこそが、この習慣がもたらしてくれる、最大の変化なのかもしれません。
【この章のポイント】
小さな習慣は「自分の感覚で選ぶ」練習になり、迷わない「自分軸」を育ててくれます。
自分で自分を満たせるようになると、衝動買いや無駄遣いが減り、お金にも心にも余裕が生まれます。
「自分だけの心地よさ」が見つかると、他人と比べなくなり、SNSや人間関係のストレスが軽減されます。
最終的に、「できなくてもOK」と自分を許せるようになり、ありのままの自分を受け入れられるようになります。
【Q&A】よくあるご質問。心が折れそうになった時に開く、お守りの言葉
新しい習慣を始めると、必ず
「これでいいのかな?」と迷ったり、
「なんだか上手くいかないな」と落ち込んだりする日がやってきます。
それは、あなたが前に進もうとしている、とても素敵な証拠。
ここでは、そんな時にあなたの心をそっと支える、お守りのような言葉をいくつかご用意しました。
Q1「5分だけでも、つい他のことを考えてしまいます。全然集中できません…」
A1:素晴らしいです!「考えが逸れたことに気づけた」だけで、100点満点なんですよ。
この習慣の目的は、決して「無になること」ではありません。
私たちの心は、放っておけば過去や未来、様々な場所へと思考を飛ばすのが、ごく自然な状態です。
大切なのは、その「あ、今、考えが逸れていたな」と気づくこと。
そして、それに気づいたら、また優しく、目の前のことに意識を戻してあげること。
この「気づいて、戻す」という繰り返しこそが、心を鍛える最高のトレーニングになります。
集中できない自分を責める必要は、全くありません。
むしろ、気づけた自分を、たくさん褒めてあげてくださいね。
Q2「家族がいると、平日は5分の時間すら取れないことがあります…」
A2:全く問題ありません。大切なのは「時間の長さ」よりも「意識を向ける回数」です。
もし5分が難しければ、1分でも、30秒でも大丈夫です。
例えば、
-
トイレに座った時に、3回だけ深呼吸してみる。
-
歯を磨きながら、歯ブラシの感触だけに集中してみる。
-
家を出る前に、ドアノブの冷たさを感じてみる。
そんな、一瞬でできることで構いません。
一日の中に、ほんの数秒でも「今、ここにいるな」と感じる瞬間を、意識的に作ってあげる。
「今」に意識を向けることが大切ですからね。
その回数を少しずつ増やしていくことが、忙しい毎日の中に、心の平穏を取り戻すための、とても賢い方法です。
Q3「正直、効果が感じられません。やる意味があるのか分からなくなってきました…」
A3:その気持ち、よく分かります。心の変化は、植物の成長のように、とてもゆっくりとしたものです。
筋トレを一日しただけでは筋肉がつかないように、心の習慣も、効果を実感するまでには少し時間がかかります。
もし、意味があるのか分からなくなってしまったら、一度、目的を少しだけ変えてみませんか。
「心を豊かにするため」ではなく、
「今日も5分、自分のために時間を作ってあげられたね、と自分を褒めるため」にやってみる。
結果や効果は、一旦、脇に置いておきましょう。
ただ、行動できた自分自身を、認めてあげる。
その積み重ねが、気づかないうちに、あなたの自己肯定感という、心の土壌を豊かに育ててくれているはずですよ。
【この章のポイント】
集中できなくても「考えが逸れたことに気づけた」だけで大成功です。
時間が取れなくても「時間の長さ」より「意識を向ける回数」が大切です。30秒でも大丈夫。
効果が感じられなくても、まずは「行動できた自分」を褒めることを目的にしてみましょう。
まとめ さあ、完璧な暮らしではなく“ごきげんな自分”を、今日この瞬間から始めよう
この記事は、「丁寧な暮らし」という言葉の周りを覆っていた、分厚くて重たい鎧を、一枚ずつ脱ぎ捨てていくための時間だったのかもしれません。
もう、お分かりの通り。
丁寧な暮らしとは、家事を完璧にこなすことでも、お洒落なモノを揃えることでもありませんでした。
それは、
今の自分の感覚に、ほんの少しだけ意識を向けてあげる「味わう技術」。
そして、
完璧ではない自分を「それでもOK」と許してあげる「心のあり方」。
そのものでした。
さて、何から始めましょうか?
…いいえ、もう迷う必要はありません。
あなたに今日、試してみてほしいことは、本当に、たった一つだけです。
次に何かを飲むとき。
それが朝のコーヒーでも、昼のお茶でも、夜の白湯でも構いません。
スマホをそっと裏返し、ただ、30秒だけ。
カップから伝わる温かさや、喉を通る感覚、鼻を抜ける香りを、静かに味わってみてください。
その30秒が、あなたが時間に“追われる側”から、時間を“味わう側”へとシフトする、ささやかだけれど、人生で最も偉大な第一歩です。
それは、他人軸のざわざわした世界から、自分軸の穏やかな世界へと帰ってくるための、あなただけの、大切な儀式なのです。
完璧な誰かになる必要なんて、どこにもありません。
どうか、世界でたった一人の、ごきげんな“あなた”でいてください。
あなたの毎日が、あなた自身の手によって、少しずつ、豊かな瞬間に満たされていくことを、心から願っています。
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このブログでは、今回ご紹介したような考え方をはじめとして、
あなたが
「自分にとっての幸せや豊かさ」とは何かを探求していくための、様々な考え方やヒントを発信しています。
もし、もう少し他のことも知ってみたいと感じたら、ぜひ他の記事も覗いてみてくださいね。
きっと、あなたの毎日を、もっと豊かにする言葉が見つかるはずです。